ニュース速報

ワールド

仮想通貨モネロ、北朝鮮の大学に流入か=米セキュリティ会社

2018年01月09日(火)12時31分

 1月8日、米国に拠点を置くサイバーセキュリティー会社エイリアンボルトは、仮想通貨「モネロ」の採掘コードをインストールし、採掘した通貨を北朝鮮の大学のサーバーに送る仕組みのソフトウエアを発見したと明らかにした。写真はモネロのロゴ。シンガポールで撮影(2018年 ロイター/Thomas WhiteIllustration)

[ソウル 8日 ロイター] - 米国に拠点を置くサイバーセキュリティー会社エイリアンボルトは、仮想通貨「モネロ」の採掘コードをインストールし、採掘した通貨を北朝鮮の大学のサーバーに送る仕組みのソフトウエアを発見したと明らかにした。

専門家は、国際社会の制裁下で新たな資金調達源を模索する北朝鮮にとって、仮想通貨は最善の外貨獲得手段だとみている。

このソフトの仕組みを調べたエイリアンボルトによると、ソフトは昨年12月24日に生み出されたもの。モネロの採掘にホストコンピューターを利用した上で、採掘した通貨を平壌にある金日成総合大学に送るという。

同社は発表文書で「仮想通貨は制裁で深刻な打撃を受けた北朝鮮に資金面のライフラインを提供している可能性があり、その結果として、平壌にある複数の大学が仮想通貨に明らかな関心を示した」と分析。今回発見したソフトについては「彼らが取り組んだ最も新しい製品かもしれない」との見方を示した。

同社は、仮想通貨の採掘に使われる北朝鮮のサーバーはインターネットに接続していないとみられると指摘。オブザーバーに北朝鮮との関連を気づかせない意図がある可能性を警告した。

金日成総合大学はコメントの求めに応じていない。北朝鮮の国連代表部からもコメントは得られていない。

仮想通貨の価格サイト、コインマーケットキャップによると、モネロの時価総額は約70億ドルで世界第13位。

モネロの取引では、資金が支払いごとに発行される乱数で構成されたリンク不可能なワンタイムアドレスに送られるため、追跡されにくい。この特徴が、匿名性を重視する利用者にはビットコインよりも魅力的に映ると専門家はみている。

韓国のサイバーセキュリティー会社ESTセキュリティーのチーフアナリスト、Mun Chong-hyun氏は「国際社会の制裁下にある北朝鮮にとって、仮想通貨は現状で最善の外貨獲得手段だ。仮想通貨は追跡されにくく、複数回にわたるロンダリング(資金洗浄)が可能だ」と指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=大幅反発、米中貿易戦争巡る懸念和らぐ

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、米中貿易巡る懸念が緩和

ビジネス

米国株式市場=大幅反発、米中貿易戦争巡る懸念和らぐ

ビジネス

米労働市場にリスク、一段の利下げ正当化=フィラデル
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇敢な行動」の一部始終...「ヒーロー」とネット称賛
  • 4
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル賞の部門はどれ?
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中