ニュース速報

ワールド

スイス中銀が政策据え置き、フラン「著しく過大評価」の表現は修正

2017年09月14日(木)20時38分

 9月14日、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)は、金融政策に関する声明で、長らく使われてきたスイスフランは「著しく過大評価されている」という表現を修正した。超低金利政策は維持した。写真はSNB本部。ベルンで2015年4月撮影(2017年 ロイター/Ruben Sprich)

[チューリヒ 14日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行、SNB)は14日、金融政策に関する声明で、長らく使われてきたスイスフランは「著しく過大評価されている」という表現を修正した。超低金利政策は維持した。

最近のスイスフランの対ユーロでの下落を認め、「著しい過大評価の後退にある程度寄与している」とした。

一方で「スイスフランは依然高水準にあり、為替市場の状況は依然として不安定」との認識を示した。

スイスフランは、ユーロ圏を中心とした欧州の景気回復の加速や、政治的リスクの後退を背景に、過去数週間でやや下落している。

ユーロは対スイスフランで7月初め以来約5%高となり1ユーロ=1.15フラン台に上昇。スイスの輸出企業を支援している。

ただ、依然として中銀が2015年1月まで3年間維持していた1.20フランの上限を下回っている。

ジョルダン総裁は、低インフレと他国との金利差が小さいことを踏まえ、政策変更は検討しなかったと指摘。「現時点で金融政策を変更する理由は全くない」とテレビでコメントした。

エコノミストは文言変更について政策シフトではなく、7月初め以降にユーロがフランに対して5%近く上昇したことを反映したと指摘した。

Jサフラ・サラシンのアナリストは、文言変更は予想していたよりもわずかだったとし、「実際の政策変更には踏み込まなかった」と述べた。

SNBは成長見通し下方修正、通貨安でインフレ見通しは上方修正した。

UBSのアナリスト、アレッサンドロ・ビー氏は、SNBが政策変更する前に欧州中銀(ECB)は緩和策の縮小を始めることが必要とし、欧州金利が上昇すればスイスも利上げが可能になると指摘した。

SNBは過去3年間のフラン上昇による景気への悪影響から立ち直ったか確認したいとし、「これまでの指標はまちまち」と述べた。

SNBマイナス金利は据え置き、引き続き必要なら為替市場に介入する用意があるとした。

3カ月物LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の誘導目標はマイナス1.25─マイナス0.25%に維持。決定はエコノミストの予想通りだった。

中銀預金金利もマイナス0.75%で変更なし。

金利据え置きについて、物価安定維持と景気支援の目標からみて必要とした。

*エコノミストコメントなどを追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRBに年内追加利下げ余地、景気と物価を慎重に見極

ワールド

ガザ交渉、解放者名簿交換 トランプ氏「合意まで非常

ワールド

ロシア大統領、タジキスタン到着 旧ソ連諸国の首脳と

ワールド

トランプ氏、10日に定期健診 その後中東訪問も=ホ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ「過激派」から「精鋭」へと変わったのか?
  • 3
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示す新たなグレーゾーン戦略
  • 4
    ヒゲワシの巣で「貴重なお宝」を次々発見...700年前…
  • 5
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 6
    インフレで4割が「貯蓄ゼロ」、ゴールドマン・サック…
  • 7
    【クイズ】イタリアではない?...世界で最も「ニンニ…
  • 8
    「それって、死体?...」新婚旅行中の男性のビデオに…
  • 9
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 10
    筋肉が育つだけでは動けない...「爆発力」を支える「…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 8
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 9
    更年期を快適に──筋トレで得られる心と体の4大効果
  • 10
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中