アングル:「カタリスト待ち」の日本株、成長投資の中身問う海外勢
写真は2月18日、 衆院本会議で首班指名の投票を終えた高市首相。REUTERS/Kim Kyung-Hoon
Noriyuki Hirata
[東京 18日 ロイター] - 第2次高市早苗政権が発足する見通しとなり、日本株市場では高市トレードによる株高継続への思惑が根強い。政策期待の織り込みに一巡感も漂う中、一段の株高には、消費税減税などを巡る不透明感の払拭に加え、資金流入余地がある海外投資家の期待をつなぎとめる成長投資の具体化が求められるとの指摘がでている。
<サナエノミクス実現ならアベノミクスは完成形へ>
「短期的な調整はあるとしても、中長期的な成長は期待できる」とフランス系資産運用会社コムジェストのポートフォリオマネージャー、リチャード・ケイ氏は話す。
日本株高の起点となったアベノミクスでは成長が強調され、海外投資家の期待を呼び込んだ経緯がある。「日本(ニッポン)列島を、強く豊かに」とのスローガンを掲げる高市政権にもその再現が見込めそうだとケイ氏は期待を寄せる。
過去に政策期待が高まる局面では、海外投資家は買い越しの傾向がみられた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員によると、小泉構造改革相場の際には2003年─07年に38兆円、アベノミクス相場では12年末─15年で19兆円買い越した。
「(高市政権は)アベノミクスでできなった第3の矢(構造改革・成長戦略)を実行しようとしており、実現すればアベノミクスが完成することになる」と大西氏はみており、過去の政策期待で株高となった局面に匹敵する相場になる可能性があるとの見方を示す。
<海外勢の資金流入も>
実際、海外の短期投資家の一角が日本株に資金を振り向ける動きも観測される。東証がまとめる投資部門別の売買動向で海外投資家は、中長期資金が中心とみられる現物株の買い越し基調を継続。海外勢の多くが新年度を迎えた年初から2月第1週までに2.6兆円買い越した。
短期筋からの資金流入を見込む声もある。JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストの試算によると、順張り投資家のCTA(商品投資顧問業者)は、日本や英国株に軸足を移しつつある。米アンソロピックの新AI(人工知能)が既存ビジネスの脅威になるとの懸念から、ソフトウエア株安が発生。これを受け、ハイテク株比率の高い米国や韓国、台湾から、伝統的な製造業の多い日本などへ資金をシフトさせているという。高田氏は、日本株に対し「ポジティブなカタリストを待つ雰囲気がある」と指摘する。
<政策の実現可能性を見極め、債券・為替を警戒>
もっとも日本株は高市政権の政策への期待を織り込みながら、年始から一時7700円近く上昇し、足元でも約6800円高い水準を維持している。一段の株高には、減税策の詳細や規制改革、税制優遇、賃上げ誘導など成長投資の中身を示す追加の材料が必要になりそうだ。
「(消費税減税など)どこまでやるかやらないかわからない中、さらに織り込める段階ではない」(コムジェストのケイ氏)との意見もある。
海外短期筋のCTAは、前年の7月ぐらいから日本株に資金を振り向けてもいる。買い遅れの解消は終わり、より高いリターンを狙わないとメリットは見出しにくい状況だと高田氏は指摘、「現物の需給が悪化するような追加材料があると、先物もバランスを崩すリスクがある」という。
債券や為替のボラティリティーが高まり株価調整のきっかけとなるリスクへの警戒もあると、三菱UFJMS証券の大西氏は指摘する。
財政懸念から急速な金利上昇や円安を招いた消費税減税の構想は、2年の期限付きとしている。いつから減税するか明確にしていないが、2年後は参院選を控えるタイミングでもある。税率を元の水準に戻すことは有権者に実質的な増税と同様の痛税感を与えることになりかねない。実現可能性に懐疑的な見方は根強く、財政懸念のぶり返しへの警戒はくすぶる。
日中関係の悪化も「中国関連銘柄への悪影響だけでなく、海外投資家から地政学的にリスクのある国とみなされかねない」と三菱UFJMS証券の大西氏はみている。
海外投資家の期待をつなぎ、息の長い株高になるには、消費税減税のような需要サイドの刺激策より、企業の稼ぐ力が強化される成長投資のようなサプライサイドの改革に軸足を置く姿勢が示される必要があると、いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は話している。





