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米給与の伸び鈍化、労働への需要減による可能性 SF連銀総裁が論考

2025年11月10日(月)21時29分

デイリー総裁、2025年8月21日、米ワイオミング州ジャクソンホールで撮影。REUTERS/Jim Urquhart/File Photo

Howard Schneider

[ワシントン 10日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は10日、国内の給与の伸び鈍化は、厳しい移民政策による労働力人口の減少よりも、労働者への需要減による可能性が高いとの見方を示した。米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げを巡っては、この差異が議論で重要となる。

デイリー総裁は論考の中で、賃金の伸び鈍化は月次の雇用増の減少を意味し、企業が必要とする労働者数減少を示しているとし、トランプ政権の移民取り締まりにより労働者探しが困難になっているわけではないと述べた。

2024年に約15万人だった月次の雇用増加数は、25年上期に5万人程度に減少した。

総裁は「労働者への需要が減少し、ほぼ同時に労働供給も減った」ことで偶然にも失業率が安定したと指摘。「労働市場の冷え込みにつれ名目賃金と実質賃金の伸びは総じて鈍化しており、外国生まれの労働者が雇用の大部分を占める多くのセクターでも同様だ」とし、「雇用者数の伸びの鈍化がほぼ構造的で労働供給と関係しているのであれば、逆のことも言える」と述べた。

論考では12月の会合での再利下げを支持するかどうかについては言及しなかった。

しかし、労働市場に関するこの論考は、利下げ議論にとって重要だ。中央銀行当局者は、自らが行う借入コストの変更は、景気循環に関連する経済の側面、例えば経済活動に伴って増減する労働需要などに対して最も影響力を持つと考えている。一方で、外国生まれの労働力の減少のような「構造的」変化に対しては、あまり対処できないと認識している。

総裁は同様に、関税が物価に与える影響は「 より広範で持続的なインフレ動向にはつながっていない。実際のところ、関税の影響はほとんど財に限られ波及はほとんどみられない」との見方を支援した。

FRBは過去2回の会合で借入コストを0.25%ポイント引き下げたのは「適切」とし、現在はインフレ再燃のリスクがあり一定程度引き締まった政策を維持する必要があるのか、あるいは人工知能(AI)主導の生産性ブームが到来しつつあり物価上昇を伴わずに成長を促進できるのか、見極める必要があるとの見方を示した。

その上で「政策を正しく行うには、オープンマインドで議論の両論における証拠を探る必要がある」と述べた。

ロイター
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