再送-インタビュー:円債、積み増す段階にない 「10月利上げの可能性」=MUFG社長

8月5日、三菱UFJフィナンシャル・グループの亀沢宏規社長は、日銀の金融政策について「10月ぐらいに利上げする可能性はある」との見方を示した。7月31日、都内で撮影(2025年 ロイター/Miho Uranaka)
(この記事は5日午前0時に配信しました)
Miho Uranaka Anton Bridge
[東京 5日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループの亀沢宏規社長は、日銀の金融政策について「10月ぐらいに利上げする可能性はある」との見方を示した。金利の先高観が強まるなか「(円債を)積み増すという感じではない」とし、引き続き慎重な運用姿勢を維持する方針を明らかにした。
亀沢氏はロイターとのインタビューで、トランプ米政権による関税措置の影響などで、日本経済に下押し圧力がかかるとし、同社の公式な見立てとしては「基本的には来年3月末までは利上げしにくい」とした。一方で、個人的な見解とした上で、インフレ圧力の高まりや経済の先行き不透明感の後退を踏まえれば、「10月の利上げの可能性」もあると指摘した。
「景気やCPI(消費者物価指数)、賃上げの動きが見えてきた段階では動きやすくなる」とし、「その後、来年夏までにもう1度利上げする可能性がある」と述べた。
超長期債の金利上昇については、参院選での与党過半数割れや減税を含む財政拡張への動きが強まる中、「格付け機関がネガティブウォッチを付けたら、マーケットは静かにはいられない」と述べ、財政運営への信認低下と市場反応への警戒感を示した。
生保などの買い手不在や海外の機関投資家の参入も加わり需給環境が変化する中、「長いところの金利がどういう動きをするか、これがマーケットからの警鐘になる」と指摘し、金利が行き過ぎるリスクもあると説明。現時点では超長期債も含めて積極的に円債を買う状況にはなく、さらなるポジション構築には慎重な姿勢を示した。
円金利の上昇圧力が強まるなか、粘着性の高い預金の確保はMUFGにとって注力が求められる重要な分野となっている。亀沢氏は「楽天銀行やSBIなどのネット銀行に口座や預金が流れ、証券口座に資金が移る構図ができている。ここが最大の危機感」と指摘。三井住友フィナンシャルグループの個人向け金融サービスの展開により、年間の預金増額で後れを取ったことも危機感を強める要因だと語った。
MUFGは6月、個人向け総合金融サービス「エムット」を始動。カード、住宅ローン、相続、証券、資産運用などのサービスを横断的に組み合わせ、LTV(顧客生涯価値)の向上を図る方針で、複数サービスの利用者にポイントを優遇するなど、顧客の囲い込みを進めていく。
MUFGはまた、ネット証券のauカブコム証券(現三菱UFJ eスマート証券)や資産運用ロボアドバイザーのウェルスナビを完全子会社化。こうした動きは、マネタイズポイントを最大化する戦略の一環であり、自社で金融サービス機能を構築していく考えを示している。
亀沢氏は「デジタルの世界だと上位3社に入らないと選んでもらえない」との認識を示す。26年度下半期にはデジタル銀行も立ち上げ、「これで基盤が仕上がる」とした。
※インタビューは7月31日に実施しました。