ステランティスCEO、25年の減配に含み 確定は「時期尚早」
欧米自動車大手ステランティスのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は3日、25年の配当と自社株買いの計画を巡り「24年末の状況を見て議論し決定する」と述べ、削減する可能性に含みを残した。9月撮影(2024年 ロイター/Stephane Mahe)
[ミラノ/ソショー(フランス) 3日 ロイター] - 欧米自動車大手ステランティスのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は3日、25年の配当と自社株買いの計画を巡り「24年末の状況を見て議論し決定する」と述べ、削減する可能性に含みを残した。2024年の配当と自社株買い計画は維持した。
9月30日に公表した24年通期の業績見通しの下方修正につながった米事業の見直しに伴うコスト増については「小さな業務上のミス」と述べるにとどめた。
投資家は、米事業の回復にかかる費用増が、ステランティスの配当に影響するのではないかと懸念している。株価は大きく下落し、22年7月以来の低水準を付ける場面もあった。調整後の営業利益率予想を従来の「2桁」から5.5%─7.0%に引き下げたことも経営陣に対する不信につながっている。
フランス東部の工場を訪問したタバレス氏は、ステランティスは米国で業務上の困難を抱えているが、自身のCEO任期の26年よりも前に解決するとの見方を示した。一方、来年の配当の計画を確認するのは、時期尚早だとした。
ステランティスは傘下にクライスラー、ジープ、フィアット、シトロエン、プジョーの各ブランドを抱える。株価は3月以来55%以上下落し、欧州の自動車株の中で最も下落率が大きく、時価総額は470億ユーロ(520億ドル)減少した。
資産運用会社カルミニャックのケビン・トゼット氏は、ステランティスによる業績見通しの下方修正は、今年後半の営業利益率がゼロになることを意味していると指摘した。バークレイズは、ステランティスのフリーキャッシュフローの大幅な削減が、配当および自社株買い計画に疑問を生じさせていると指摘している。
電気自動車(EV)への移行の難しさや中国の新規参入企業との競争激化、価格を重視する購入者の増加などを懸念し、投資家にはこの数カ月、欧州の自動車株への投資を手控える動きが出ている。