日鉄の信用力に新たなリスク、米社買収の不透明感強まり=S&P
9月10日、S&Pグローバル・レーティングは、日本製鉄(長期発行体格付けBBBプラス)が進める米鉄鋼大手USスチールの買収計画の不透明感が強まっていることで、日鉄の信用力を巡る新たなリスクになるとのリポートを公表した。写真は2月、日本製鉄本社が入るビルの前に掲げられた看板。(2024年 時事通信)
Shinichi Uchida
[東京 10日 ロイター] - S&Pグローバル・レーティングは10日、日本製鉄(長期発行体格付けBBBプラス)が進める米鉄鋼大手USスチールの買収計画の不透明感が強まっていることで、日鉄の信用力を巡る新たなリスクになるとのリポートを公表した。
S&Pは、仮にバイデン米大統領が買収について中止命令を出した場合、日鉄は買収計画の大幅な見直しを余儀なくされると指摘。買収計画の完了に今後6カ月以上かかる見通しになる場合、さらに多大な経営資源が割かれ、日鉄の事業運営にも影響が出るとの見方を示した。
その上で日鉄が「政治問題化する買収を短期間で成功裏に実現し、米国事業を円滑に運営するハードルは高いと考える」とした。
一方、S&Pは買収がこのまま進む場合でも、USスチールの連結子会社化で、日鉄の収益性とキャッシュフローについて潜在的な変動性が従来より高まると説明。経営資源の追加投入の可能性も踏まえ買収後の統合リスクが当初の想定より大きく高まったとし、買収が進む場合の財務負荷も非常に重いとの見解を示した。