ニュース速報
ビジネス

英賃金上昇率、4─6月は前年比+5.4% 約2年ぶりの低い伸び

2024年08月13日(火)19時11分

 8月13日、英国立統計局(ONS)が発表した4─6月の賃金上昇率はボーナスを除くベースで前年同期比5.4%だった。写真は昨年10月、ロンドンで撮影(2024年 ロイター/Susannah Ireland)

David Milliken

[ロンドン 13日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が13日発表した4─6月の賃金上昇率はボーナスを除くベースで前年同期比5.4%だった。ロイターがまとめた市場予想と一致した。

3─5月の5.8%から減速し、2022年8月以来の低い伸びとなった。

失業率は4.4%から4.2%に低下。ロイターがまとめた市場予想の4.5%を下回り、昨年12月─今年2月以来の低水準となった。

統計の発表直後、ポンドは対ドルで上昇した。

イングランド銀行(英中央銀行)がインフレ目標と整合的と考えるペースと比べると、賃金はなお約2倍の伸びとなっている。

ドイツ銀行の英国担当チーフエコノミスト、サンジェイ・ラジャ氏は「今日のデータは、金融引き締め政策が段階的かつ慎重に緩和されていることと一致する」と指摘。「しかし国内総生産(GDP)の堅調な伸びが続けば、労働市場の回復も堅調になり、利下げサイクルがより緩やかになる可能性がある」と述べた。

就業者は9万7000人増と、エコノミスト予想の3000人を大きく上回った。

ラジャ氏は失業率の低下について、ONSが過去に失業率を若干過大評価していたことにも一部起因している可能性があると分析した。ONSは労働力調査への回答率が今年初めから改善していると明らかにした。

シンクタンクのリゾリューション財団は、ONSが依然として就業者数を過小評価しているのではないかと懸念していると述べた。

民間部門の賃金上昇率はボーナスを除くベースで5.2%。3─5月の5.6%から鈍化し、22年5月以来の低い伸びとなった。

ボーナスを除いた実質賃金は前年比3.2%増加し、21年半ば以来の大幅は上昇となった。

ボーナスを含む賃金上昇率は前年比4.5%に大幅に鈍化し、21年後半以来の低水準となった。昨年6月の公的医療従事者への遡及的な賃金支払いが背景。

ボーナスなど一時金を除いた公共部門の賃金の伸びは6.0%と、6.4%から縮小し5カ月ぶりの低水準を記録した。

5─7月の求人数は88万4000件と、3年ぶりの低水準に落ち込んだ。22年半ばの130万件からは減少したが、20年初めの水準は上回っている。

インディードのシニアエコノミスト、ジャック・ケネディ氏は「多くの分野で欠員補充が依然として困難だ。労働年齢層で非労働人口が940万人と、過去最高に近い水準にあることが主な要因となっている」と述べた。

健康状態や学業、介護などの理由で仕事に就いておらず、失業もしていない労働年齢人口の割合は、4─6月に22.2%と、約8年ぶりの高水準となった。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

UBS、資本規制対応で全ての選択肢検討 月内に正式

ワールド

IEA「油田・ガス田の生産減が加速」、OPECは報

ワールド

アングル:中国人民銀は早期利下げ回避か、経済減速も

ワールド

貿易収支、8月は2425億円の赤字 対米自動車輸出
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 9
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中