ニュース速報
ビジネス

認証不正は現場依存で発生、環境作りで経営責任果たす=トヨタ社長

2024年08月09日(金)18時17分

8月9日、車の量産に必要な型式指定の認証不正があったトヨタ自動車は、国土交通省からの是正命令を踏まえた再発防止に関する報告書を提出した。写真は佐藤恒治社長。都内で5月撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Maki Shiraki

[東京 9日 ロイター] - 車の量産に必要な型式指定の認証不正があったトヨタ自動車は9日、国土交通省からの是正命令を踏まえた再発防止に関する報告書を提出した。佐藤恒治社長は記者団に対し、「現場に依存したプロセス(工程)になっていた」と改めて反省し、「節目節目での判断や環境作りに経営がもっと責任を果たしていく必要がある」と述べた。

報告書には、経営陣による開発・認証業務への理解や関与の強化、責任者と工程見直しなどを盛り込んだ。CTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)の中嶋裕樹副社長が開発、G─CQO(グローバル・チーフ・クオリティ・オフィサー)の宮本眞志カスタマーファースト推進本部長が認証のそれぞれ総合判断責任者となり、節目の会議で認証業務を正しく実行するための判断ができるようにした。

7月末に新たに判明した不正対象7車種のうち6車種は国連の型式認定相互承認協定に基づき海外当局の認可を用いて日本の型式指定を取得した車両だったが、佐藤社長は、国連の相互承認協定への「理解が足りなかった」と指摘。1月下旬以降からの社内調査は「第三者的な視点を入れて工程の検査・確認をしている」と語った。

6月から生産停止中の不正対象3車種は9月初旬から生産を再開する予定だが、佐藤社長は、同3車種の停止により約3万台に影響が及び「販売店にダメージが出ている」と話した。同社広報によると、年央に発売予定だった「クラウン・エステート」、今秋発売予定だった「レクサスGX550」の2車種も認証が遅れており、発売時期も未定という。

トヨタ単体の24年度(4月─25年3月)の生産は1000万台を計画するが、佐藤社長は計画見直しについて明言を避けた。下期以降の挽回に関しては「生産負荷をしっかり下げて足場固めをして予定の販売を目指す」と述べるにとどめた。

関係者2人によると、トヨタは主要取引先に対し、認証不正やリコールに伴う一部車種の生産停止などを受けて24年(1─12月)の生産計画は従来の1030万台から980万台に引き下げたことを伝えた。トヨタ広報は暦年の生産計画とその見直しは「公表していない」としてコメントを控えた。

佐藤社長は、豊田章男会長の責任について問われ、6月の株主総会での取締役選任賛成比率が23年の84.57%から12ポイント超低下したことに触れ「大きな課題」だと指摘。海外投資家を中心に現在の経営実態を理解してもらえるよう状況を改善する考えを示した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、ガザ停戦維持に外交強化 副大統領21日にイスラ

ワールド

米ロ外相が「建設的な」協議、首脳会談の準備巡り=ロ

ビジネス

メルク、米国内事業に700億ドル超投資 製造・研究

ワールド

コロンビア、駐米大使呼び協議へ トランプ氏の関税引
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 7
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 8
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 9
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 10
    トランプがまた手のひら返し...ゼレンスキーに領土割…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中