ニュース速報
ビジネス

日本株、構造変化通じ資金流入の余地 割高感ない=フィデリティ 鹿島氏

2024年02月22日(木)12時11分

 2月22日、フィデリティ投信の鹿島美由紀運用本部長は、日本株の評価について世界の他市場に比べて割高でないとの見方を示した。写真は都内の東京証券取引所で2020年10月撮影(2024 ロイター/Issei Kato)

Noriyuki Hirata

[東京 22日 ロイター] - フィデリティ投信の鹿島美由紀運用本部長は、日本株の評価について世界の他市場に比べて割高でないとの見方を示した。構造変化への期待が高まる中で資金が流入する余地はあると見ている。具体的な相場水準には言及しなかった。

電子メールを通じ、ロイターの質問に答えた。

フィデリティ投信の日本での公募投信残価は24年1月末で4兆5423億円で、外資系のアクティブ運用会社では首位。

鹿島氏は、日本株の株価収益率(PER)について、バブル経済の当時は50倍を超えていたが足元では15倍程度にとどまると指摘。「金利水準からみても、他の市場に比べて(PERは)高く見えない」とした。

年初からの上昇相場では海外投資家が積極的な買い手を担っており、とりわけ短期筋中心の先物ではなく現物株に買い越しが集中している点に着目し「海外の長期投資家の関心が高まっていることが示唆される」と説いた。

先行きも「日本市場に資金が流入する余地は十分にある」との見方を示した。背景としては、日本経済のインフレへの転換や東証による企業への改革要請、日銀の緩和継続姿勢やそれに伴う円安のほか、指数への寄与度の高い銘柄の好業績が投資家心理を改善させていることなどを挙げた。

とりわけ東証の要請への企業の対応に関しては、デフレ下では将来への投資が難しかった半面、デフレの克服に自信を持ち始めた足元の環境下では「要請を受け入れて積極的に取り組む可能性が高まっている」とみている。

海外勢による日本株の累積的な買い越しは、アベノミクス期間中の2015年のピークを大きく下回っていると指摘。グローバル投資家のアンダーウェイトが継続していることからも、引き続き資金流入の可能性はあるという。

日本企業にようやく認識された株価純資産倍率(PBR)や自己資本利益率(ROE)などの株価指標は、欧州や米国の企業と同等に評価され得るとみている。

リスク要因としては、日本が再びデフレに戻ることや、中国経済の回復の弱さ、米国の景気減速への懸念などを挙げた。

(平田紀之 編集:橋本浩)

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米アメックス、感謝祭週の国内小売支出が9%増加=C

ビジネス

午前の日経平均は続落、朝高後に軟化 ソフトバンクG

ビジネス

米経済金融情勢の日本経済への影響、しっかり注視=米

ワールド

メキシコ、中国などに最大50%関税 上院も法案承認
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中