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NY市場サマリー(1日)ドル下落、利回り急低下 S&P年初来高値

2023年12月02日(土)07時29分

<為替> 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が一段の利上げに慎重な姿勢を示したことを受け、ドルが下落した。

パウエル議長はスペルマン大学(ジョージア州アトランタ)で行った講演で、利上げが行き過ぎ必要以上に景気を減速させるリスクと、インフレ抑制のために十分な利上げを実施しないリスクは「より均衡している」と述べた。

パウエル氏の発言はハト派的と受け止められ、市場でFRBの利上げサイクルは終了したとの見方が織り込まれた。マネックスUSA(ワシントン)のトレーディング・ディレクター、フアン・ペレス氏は「FRBは正しく行動しており、利上げを行わずに様子を見る余裕があると同時に、必ずしも利下げを行う必要はない、という考えをパウエル議長は肯定した」としている。

CMEフェドウオッチによると、FRBが来年3月の会合までに利下げに踏み切る確率は64%。前日では43%だった。5月の会合については、利下げが行われる確率は90%。前日は約76%だった。

主要6通貨に対するドル指数は0.2%安の103.23。

ドルは対円で0.9%安の146.855円。円は対ドルで11月半ばに151.92円と、33年ぶり安値に迫ったが、日銀が来年に超緩和策を解除するとの観測が高まっていることに加え、米国債利回りが低下したことで、ここ数週間、円に買いが入っている。

ユーロは0.1%安の1.0874ドル。前日発表の米国とユーロ圏のインフレ指標が軟調だったことで、FRBと欧州中央銀行(ECB)の利上げサイクルは共に終了したとの見方が強まっている。

暗号資産(仮想通貨)では、ビットコインが2.8%高の3万8788ドル。一時は3万8839ドルと、1年半ぶりの高値を付けた。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 国債利回りが大きく低下した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言と11月製造業景気指数が材料となった。

パウエルFRB議長は1日、利上げが行き過ぎ必要以上に景気を減速させるリスクと、インフレ抑制のために十分な利上げを実施しないリスクは「より均衡している」と述べた。

この発言後、債券利回りは低下幅を拡大した。

CMEのフェドウオッチによると、市場は3月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率を66%とみている。前日は約43%だった。

序盤の市場でも、米供給管理協会(ISM)が発表した11月の製造業景気指数を受けて利回りは低下していた。同指数は46.7と10月から変わらず。拡大・縮小の分岐点となる50を下回るのは13カ月連続となった。

指標となる10年債利回りは13ベーシスポイント(bp)低下し4.261%。今週は27bp以上低下した。

30年国債利回りは11bp低下し4.404%となった。

2年債と10年債の利回り格差はマイナス34.4bpだった。一時マイナス33.83bpまでマイナス幅が縮小する場面があった。

2年債利回りは4.557%。一時は6月13日以来の低水準となる4.540%まで低下した。

物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.159%、10年物が2.227%だった。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 上昇し、S&P総合500種は終値ベースの年初来高値を更新した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言を受け、主要政策金利はピークアウトしたとの見方が強まった。

主要3株価指数全てが上昇。経済の健全性を測る指標とされるダウ輸送株20種と小型株で構成されるラッセル2000指数の上昇が目立った。

ホライズン・インベストメンツの最高投資責任者(CIO)、スコット・ラドナー氏は「12月が好調なスタートを切れば、投資家は株高に飛びつき、追いかけることになる」と述べた。

週間では主要3株価指数がいずれも5週連続高を記録。S&P500とナスダック総合の11月の上昇率は2022年7月以降で最大となったほか、ダウ工業株30種は前日、22年1月以来の高値で取引を終えた。

パウエル議長は1日、利上げが行き過ぎ必要以上に景気を減速させるリスクと、インフレ抑制のために十分な利上げを実施しないリスクは「より均衡している」と述べた。その上で、FRBが今後の金融政策決定において慎重であることを改めて確認した。

ラドナー氏は「今週はFRB最大のタカ派の一人であるウォラー理事がインフレ率が低下すれば利下げに踏み切ると述べた。市場はパウエル議長がこの発言に反対すると想定していたが、そうはならなかった。パウエル氏は来年の利下げに向けて市場を整えている」と述べた。

米供給管理協会(ISM)が1日発表した11月の製造業景気指数は46.7と10月から変わらずとなった。拡大・縮小の分岐点となる50を下回るのは13カ月連続で、2000年8月─02年1月以来の最長を記録。ロイターがまとめた市場予想は47.6だった。

S&P500の主要11セクターでは、不動産が最大の上昇率を記録。一方、通信サービスは唯一の下落セクターとなった。

製薬大手ファイザーは5.1%下落。1日2回服用の肥満症治療薬「ダヌグリプロン」を後期試験に進める計画を取り止めると発表した。

中国電子商取引(EC)大手アリババ・グループ・ホールディングの米上場株も1.2%安。モルガン・スタンレーによる格下げを受けた。

半導体メーカー、マーベル・テクノロジーは5.3%安。第4・四半期の売上高見通しが市場予想を下回った。

一方、メディア大手パラマウント・グローバルは9.8%高。パラマウントとアップルがそれぞれの動画配信サービスを1つのパッケージにまとめ、割引価格で提供する方向で協議しているとの報道を受けた。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を5.93対1の比率で上回った。ナスダックでは3.32対1で値上がり銘柄が多かった。

米取引所の合算出来高は123億4000万株。直近20営業日の平均は105億8000万株。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 早期の米利下げ観測を背景とした長期金利の低下で買いが膨らみ、反発した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比32.50ドル(1.58%)高の1オンス =2089.70ドルと、中心限月の清算値ベースで史上最高値を更新した。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」による自主減産合意に対する懐疑的な見方が根強い中、続落した。米国産標準油種WTI1月物の清算値(終値に相当)は前日比1.89ドル(2.49%)安の1バレル=74. 07ドルと、中心限月の清算値ベースで11月中旬以来約2週間ぶりの安値となった。2 月物は1.80ドル安の74.25ドル。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 146.81/146.84

始値 148.12

高値 148.34

安値 146.67

ユーロ/ドル NY終値 1.0881/1.0885

始値 1.0896

高値 1.09

安値 1.083

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 105*29.50 4.3925%

前営業日終値 103*29.00 4.5110%

10年債(指標銘柄) 17時05分 102*11.00 4.2089%

前営業日終値 101*06.50 4.3500%

5年債(指標銘柄) 17時05分 101*01.50 4.1405%

前営業日終値 100*11.00 4.2980%

2年債(指標銘柄) 17時05分 100*19.50 4.5508%

前営業日終値 100*09.63 4.7150%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 36245.50 +294.61 +0.82

前営業日終値 35950.89

ナスダック総合 14305.03 +78.81 +0.55

前営業日終値 14226.22

S&P総合500種 4594.63 +26.83 +0.59

前営業日終値 4567.80

COMEX金 2月限 2089.7 +32.5

前営業日終値 2057.2

COMEX銀 3月限 2585.7 +19.7

前営業日終値 2566.0

北海ブレント 2月限 78.88 ‐1.98

前営業日終値 80.86

米WTI先物 1月限 74.07 ‐1.89

前営業日終値 75.96

CRB商品指数 270.7719 ‐2.8693

前営業日終値 273.6412

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