ニュース速報

ビジネス

米助言会社グラスルイス、トヨタ会長の取締役選任議案に反対を推奨

2023年05月27日(土)01時37分

米議決権行使助言会社グラスルイスは26日までに、トヨタ自動車の豊田章男会長(写真)の取締役選任議案に反対するよう株主に推奨した。資料写真、8日、バンコクで撮影(2023年 ロイター/Athit Perawongmetha)

[東京 26日 ロイター] - 米議決権行使助言会社グラスルイスは26日までに、トヨタ自動車の豊田章男会長の取締役選任議案に反対するよう株主に推奨した。グラスルイスは「独立取締役の人数が不十分で、取締役会の客観性・独立性・適切な監督を行う能力には重大な懸念がある」と指摘。その責任を負う取締役会議長としての豊田氏の選任に反対するとしている。

取締役候補者10人のうち、グラスルイスが独立とみなせるのは3人だけであり、東京証券取引所(東証)の基準である「取締役の少なくとも3分の1が独立している」という条件を満たしていないと主張。候補者の1人、トヨタと取引関係にある三井住友銀行の大島真彦副会長は「独立ではない」とみなしている。

一方、トヨタ広報は、グラスルイスの見解に対し、「東証からも新任取締役の独立性について届け出をし、承認をいただいている」と説明。グラスルイスの指摘する「客観性・独立性・適切な監督を行う能力」についての懸念はない、などと反論した。

大島氏については、同氏が「業務執行者である三井住友銀行と取引関係にあるが、取引規模に重要性がないことから、一般株主と利益相反が生じる恐れはないと判断している」とコメント。大島氏を独立取締役とする場合、独立取締役の比率は40%となり、「3分の1を上回る」と主張している。

グラスルイスはまた、監査役候補についても「独立した監査役の数が不十分で、適切な監査の役割を果たす能力に懸念がある」とし、小倉克幸氏、酒井竜児氏、白根武史氏の3人の選任に反対するよう株主に助言した。

小倉氏は現在、トヨタの常勤監査役で、トヨタグループの愛知製鋼の監査役も兼務している。白根氏はトヨタグループでトヨタ車を生産するトヨタ自動車東日本の元会長。酒井氏はトヨタと取引関係にある長島・大野・常松法律事務所所属の弁護士。

グラスルイスは、酒井氏も「独立ではない」とみなす。これに対し、トヨタは同氏の選任理由について、同氏が所属している法律事務所とは「取引関係にあるが、取引規模に重要性がないことから、一般株主と利益相反が生じる恐れがないと判断した」と株主総会招集通知の中で説明している。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米3月新築住宅販売、8.8%増の69万3000戸 

ビジネス

円が対ユーロで16年ぶり安値、対ドルでも介入ライン

ワールド

米国は強力な加盟国、大統領選の結果問わず=NATO

ビジネス

米総合PMI、4月は50.9に低下=S&Pグローバ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親会社HYBEが監査、ミン・ヒジン代表の辞任を要求

  • 4

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 5

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ロシア、NATOとの大規模紛争に備えてフィンランド国…

  • 9

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中