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ブラジル中銀、5会合連続金利据え置き インフレ期待の高まり指摘

2023年03月23日(木)11時35分

[ブラジリア 22日 ロイター] - ブラジル中央銀行は22日の金融政策委員会(COPOM)で、政策金利を13.75%に据え置くことを決定した。据え置きは5会合連続。インフレ期待が引き続き高まっているとし、金融緩和観測が近く後退すると指摘した。

ロイター調査ではアナリスト30人全員が据え置きを予想していた。

政策当局者は「シナリオの不確実性を踏まえ、委員会は警戒を続け、政策金利を長期間据え置く戦略がインフレ収束を確実にするのに十分かどうかを評価する」とした。

中銀は、市場予想よりも長期にわたって金利を据え置くという文言を削除した。

「委員会はディスインフレのプロセスが定着し、インフレ期待が目標付近で抑制されるまでこの戦略を持続する」と強調。インフレ期待は特に長期で一段と悪化していると指摘した。

ルラ大統領は現行の政策金利について「無責任」と述べるなど、中銀に利下げを繰り返し求めている。

アダジ財務相は中銀の声明を「非常に懸念している」と述べ、中銀の次の決定が財政状況を危険にさらす恐れがあると指摘した。

「中銀は既に世界で最も高い水準にある金利をさらに引き上げる可能性を示唆している」と批判。ブラジルのインフレは他の開発途上国よりも抑制されており、インフレ期待も急速に低下する可能性があるとの見方を示した。

一方中銀は、銀行を巡る混乱の中で世界的な環境が悪化していることを認めた上で、世界的な経済活動やインフレに関する最近のデータは底堅さを保っているとの見解を示した。

また、米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ継続方針を受け、主要国で金融政策の引き締めが依然として進んでいると指摘した。

BNPパリバの中南米担当調査責任者、グスタボ・アルーダ氏は「今回の声明は予想よりもタカ派的だった。おそらく、今後の政策会合での利下げシナリオの確率が低下するだろう」と述べ、来年5月までの金利据え置きを予想した。

政策当局者は、政府の燃料税再開決定が財政改善につながっているとする一方、非常に不安定な金融市場と目標を上回る長期的なインフレ期待により「金融政策運営でさらなる注意が必要になっている」と述べた。

インフレ率は2月に5.6%まで鈍化したものの、今年の公式目標である3.25%をはるかに上回る水準。一方、中銀のインフレ予想は2023年が5.8%、24年が3.6%に上昇している。来年の目標は3%。

ロイター
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