ニュース速報

ビジネス

CS救済で危機懸念緩和も、ファースト・リパブリック株は急落

2023年03月21日(火)06時54分

スイスの金融大手UBSによる同業クレディ・スイス救済が決まり、危機懸念はいったん緩和したかに見えた。2022年10月撮影(2023年 ロイター/Arnd Wiegmann)

[20日 ロイター] - スイスの金融大手UBSによる同業クレディ・スイス救済が決まり、危機懸念はいったん緩和したかに見えた。しかしこの日は、米中堅銀行ファースト・リパブリック・バンクの株価が47%急落するなど、さらなる救済が必要との観測はくすぶり続けている。

JPモルガン・チェースやシティグループなどを含む 米大手11行が16日、ファースト・リパブリック支援のため、同行に合計300億ドルの預金を預け入れると発表したものの、ファースト・リパブリックの株価は下げ止まらない。

格付け会社S&Pグローバルは19日、ファースト・リパブリックの格付けを「BBプラス」から3段階引き下げて「Bプラス」にしたと発表。さらに格下げする可能性があるとした。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は20日、米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)がファースト・リパブリックを安定させるための新たな取り組みについて、他の大手銀行の首脳陣と協議を進めていると報じた。

こうした中、B.ライリー・ウェルスのチーフマーケットストラテジスト、アート・ホーガン氏は「銀行業界では(悪いニュースよりも)良いニュースの方が多い。クレディ・スイスとUBSの合併は、世界の銀行システムから多くのストレスを取り除くことになる」と指摘する。

実際、欧州銀行株はこのところの下げから回復。米株式市場でも、S&P500銀行株指数が0.6%高となった。

他の米地域金融機関株も上昇。米カリフォルニア州地盤の銀行、パックウエストは、預金流出が安定し利用可能な現金が保険外預金総額を上回ったと発表。株価は10%高となった。

UBSの株価は1.26%上昇した。

今回の銀行業界の混乱の発端となったのは米中堅銀行シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻だった。

米連邦預金保険公社(FDIC)は20日、SVBの事業を分割し、預金部門とプライベートバンク部門のそれぞれの売却先を選ぶ入札手続きを実施することを決めた。SVBの売却先を先週探したものの、買い手が現れなかったため事業を分割して売却することを決めた。

クレディ・スイスに対する懸念が和らいだことで、インフレ抑制のための積極利上げが混乱の引き金になったとの批判が浮上している米連邦準備理事会(FRB)の動向に注目が集まっている。トレーダーは、FRBが金融の安定を図るため、21─22日に開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを一時停止するとの見方を強めている。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

香港の大規模住宅火災、ほぼ鎮圧 依然多くの不明者

ビジネス

英財務相、増税巡る批判に反論 野党は福祉支出拡大を

ビジネス

中国の安踏体育と李寧、プーマ買収検討 合意困難か=

ビジネス

ユーロ圏10月銀行融資、企業向けは伸び横ばい 家計
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中