ニュース速報

ビジネス

インタビュー:LBOローン積極化、事業承継など国内に安定ニーズ=三菱UFJ幹部

2022年11月25日(金)12時30分

 11月25日、三菱UFJ銀行のM&Aファイナンス第1グループの西川仁次長は17日実施したインタビューで、買収対象企業の将来のキャッシュフローなどを担保に買収資金を調達するLBO(レバレッジド・バイアウト)向けローン事業を国内で強化していることを明らかにした。2018年4月撮影(2022年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 25日 ロイター] - 三菱UFJ銀行は、買収対象企業の将来のキャッシュフローなどを担保に買収資金を調達するLBO(レバレッジド・バイアウト)向けローン事業を国内で強化している。事業承継に悩む企業とプライベート・エクイティ・ファンド(PE)をマッチングする人員も増強。市場の拡大を見込み、ファンドとの連携も進めている。

M&Aファイナンス第1グループの西川仁次長は、欧米ではLBOローン市場は金利上昇を受けて低迷しているが、日本は堅調だと指摘する。日本は大手銀行が永続的に支援することを前提に資金の出し手となっているため、銀行以外の機関投資家も多い海外と比べ、利上げやインフレ懸念などの投資環境に左右されにくいという。

西川氏は、PEによる買収案件も引き続き増加傾向にあり、「(足元で)ファイナンス条件は多少レンダー有利になっているが、PEファンドが投資を踏み止まる水準感ではないとみている」と話す。

企業が一部の事業や子会社を本体から分離させるカーブアウトに加え、事業承継を課題とするオーナー企業も多く、PEの役割はさらに拡大すると予想。2021年に2兆円弱の規模に拡大した国内LBOファイナンス市場は、大口案件次第で変動するものの、今年以降も拡大基調を見込んでいる。

リフィニティブによると、日本でPEが支援するM&Aの総額は、今年1―9月で合計230億ドルに達し、前年同期から48%増加した。

こうした背景から、三菱UFJ銀行ではファンドとの連携に焦点を当てた取り組みを約3年前から始めた。対象会社の事業規模や事業内容によって、それを得意とするファンドにつなげるマッチングを行っている部隊は8人。今後も増強する方向という。

西川次長はLBOファイナンスを「非常に重要なツールで、足元大きな収益源」と位置付けると同時に、ファンドと連携することで、ファイナンシャルアドバイザーや為替などに事業の広がりが出ていると指摘した。

以前は「ハゲタカ」のイメージが強かったファンド。主戦場も東京だったが、地方都市でファンドの支援を受けて上手くいった例が出始め、同地域の他の企業からも話を聞きたいという要望が寄せられるなど、ファンドに対する抵抗感は薄れている。西川次長は「ファンドが集められる資金は増えており、一件の投資金額というのも当然増え、ディールサイズが大きくなってくる。企業価値(EV)500億円程度のサイズの案件も増えてきてる」と言い、こうしたミッドサイズの案件が、市場拡大のドライバーになっているとの認識を示している。

*インタビューは17日に実施しました。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中印ブラジル「ロシアと取引継続なら大打撃」、NAT

ビジネス

NY外為市場=ドル急伸し148円台後半、4月以来の

ビジネス

米金利変更急がず、関税の影響は限定的な可能性=ボス

ワールド

トランプ氏「ウクライナはモスクワ攻撃すべきでない」
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 5
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 6
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 7
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 8
    「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    歴史的転換?ドイツはもうイスラエルのジェノサイド…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中