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EXCLUSIVE-米当局、自動車の燃費基準巡るメーカーの罰金上げ テスラ有利に
米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が、トランプ前政権が延期していた、燃費基準を満たさない自動車メーカーに対する罰金額の引き上げ計画を復活させる方針であることが、ロイターが閲覧した文書で明らかになった。写真は2021年7月、ニューヨークで撮影(2022年 ロイター/Eduardo Munoz)
[ワシントン 27日 ロイター] - 米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は27日、燃費基準を満たさない自動車メーカーに対する罰金額引き上げ計画を復活させた。2019年モデル以降が対象となる。米電気自動車(EV)最大手のテスラ以外の業界各社は、追加で数億ドルを支払う可能性がある。
ロイターはNHTSAの発表に先立ち、この方針を報じていた。
NHTSAは今回の決定について、「国の燃費基準違反に対するメーカーの説明責任を高める」とし、罰則の引き上げは「メーカーに燃費改善を促すインセンティブになる」と説明した。
トランプ前大統領は2021年1月、19年型以降の車両を対象に、燃費基準を満たさないメーカーへの罰金額を倍以上に引き上げると定めた16年の規制を先送りした。
公表から60日後に発効するNHTSAの最終規制によると、罰則強化が復活し、22年モデルについては罰金額がさらに引き上げられる。
19─21年モデルでは、1ガロン当たり0.1マイルの未達分ごとの罰金は5.50ドルから14ドルに引き上げられ、不適合車の販売台数を乗じた金額となる。22年モデルはこの額が15ドルに引き上げられる。
各自動車メーカーは16年にこの罰則の引き上げに抗議し、業界のコストを年間少なくとも10億ドル引き上げると警告していた。この決定により、例えばクライスラーの親会社であるステランティスは5億7200万ドルものコストがかかると見積もっており、一方でテスラが販売するコンプライアンスクレジットの価値は高まる見通し。
必要以上に燃費を達成した自動車メーカーは、規制を満たさない自動車メーカーにクレジットを販売することができる。
NHTSAは、19年モデルの場合、自動車メーカーが支払うべき額は従来の1億1540万ドルから2億9400万ドルになると試算している。
テスラを除くほぼ全ての主要自動車メーカーを代表する業界団体の代表は27日、罰金が「財務省の一般資金に消えるのではなく、電気自動車、バッテリー、充電インフラに投資され」れば、「より良い結果になる」と述べた。
NHTSAは今週、26年までの最終的な規制を発表する予定だ。
ステランティスは27日、「行政や議会と協力し、罰則金を米EV市場加速に必要な技術・インフラ投資強化のために使用できるようにしたい」と表明した。
テスラからは今のところコメントを得られていない。