ニュース速報

ビジネス

NY市場サマリー(9日)ドル小幅高、ダウとS&P最高値

2021年04月10日(土)06時38分

[9日 ロイター] - <為替> ドル指数が小幅高。米中の物価統計が予想を上回る中、米国債利回りの上昇につられる格好となった。

ドルは通貨バスケットに対し0.1%高の92.163。一方、週間では0.9%安と、年初来の大幅な下げとなった。

マネックス・ヨーロッパの通貨アナリスト、サイモン・ハーベイ氏は、「米中の物価統計で米国債利回りが上昇したことから、この日は全般的にドル値固めの動きが見られた」と述べた。

3月の米卸売物価指数(PPI)は前年同月比4.2%上昇し、2011年9月以来、9年半ぶりの高い伸びを記録。また中国の3月生産者物価指数(PPI)も前年比4.4%上昇し、約3年ぶりの高い伸びとなった。

Axiの国際市場チーフストラテジスト、スティーブン・イネス氏は、「米連邦準備理事会(FRB)の辛抱強いレトリックが変わらない限り、ドル売りが再開する可能性は高い」と予想した。

豪ドルは一時0.9%安。その後は下げ渋った。MUFGのアナリストは、マクロ要因は特に見当たらないものの、オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)が発表した半期の金融安定報告で、貸出リスクの増大に対し、政策対応を見送る姿勢が見られたと指摘した。

<債券> 利回りが上昇した。3月の卸売物価指数(PPI)が予想を超えて上昇し、インフレの高まりが示された。

PPI発表後、利回りは幅広くこの日の最高水準に上げたが、今週の傾向と同様に午後になると低下した。

DRWトレーディングの市場ストラテジスト、ルー・ブライアン氏は、「市場はインフレの第1波が一過性だと述べた米連邦準備理事会(FRB)に、やや疑いの目を向けようとしている」と指摘した。

パウエルFRB議長は8日、米経済活動再開に伴う支出拡大や供給のボトルネックによって年内に物価が上昇する公算が大きいとしつつも、持続的なインフレとはならないとの見解を示した。

PPIは前月比1.0%上昇、前年同月比4.2%上昇し、ともに市場予想を上回った。前年同月比の伸びは2011年9月以来の高水準。政府の大規模な景気刺激策と新型コロナウイルス感染状況の改善で経済活動の再開が進む中、物価が上昇に向けて動き始めた可能性が示唆された。

市場では、来週実施される1200億ドルの3年債、10年債、30年債入札に注目。利回りが上昇する可能性がある。

また、来週の指標では米消費者物価指数(CPI)も関心が集まっており、前月比0.2%、前年比1.5%の上昇が見込まれている。

午後の取引で10年債利回りは、前日の1.632%から1.662%に上昇。一方、20年債利回りは2.224%から2.223%に低下した。30年債利回りは2.337%と、前日の2.322%から上昇した。

金利期待を反映する5年債利回りは5日ぶりに上昇して0.875%。今週は約5ベーシスポイント(bp)低下し、昨年12月中旬以来の大きな下げとなった。

債券市場のリスクセンチメントを計る2年債と10年債の利回り格差は149.90bpに拡大した。

<株式> 上昇し、ダウ工業株30種とS&P総合500種が終値で最高値を更新した。米10年債利回りの低下を追い風にハイテクなどのグロース株の好調が続く中、ダウとS&Pは3週連続で上昇した。

朝方発表された3月の米卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比1.0%上昇、前年同月比4.2%上昇し、ともに市場予想を上回った。前年同月比の伸びは2011年9月以来の高水準となった。

ケース・キャピタル・アドバイザーズのマネジングパートナー、ケン・ポルカリ氏は、投資家の間でインフレ高進見通しが広がる中、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はインフレ上昇はサプライズではなく、対応する用意があると表明し、市場の不安払拭に努めていると指摘。「そのため市場は弱気になっていない」と述べた。

週足では、ダウが1.96%、S&Pが2.71%、ナスダック総合は3.12%それぞれ上昇した。

ハイテク株中心のラッセル1000グロース指数は2週連続で金融やエネルギーなどで構成されるバリュー指数をアウトパフォームした。

ハイテク大手アップルやアマゾン・ドット・コム、マイクロソフトが買われた。アマゾンは2.21%高。同社のアラバマ州物流拠点で行われた労働組合結成の賛否を問う従業員投票は、反対が賛成を2倍以上上回った。

複合企業ハネウェル・インターナショナルも3.24%高。証券会社による目標株価引き上げが好感された。

米取引所の合算出来高は86億9000万株。直近20営業日の平均は117億1000万株。

来週から始まる企業決算シーズンが注目される。金融大手ゴールドマン・サックス、JPモルガン、ウェルズ・ファーゴが先陣を切り、14日に第1・四半期決算を発表する。リフィニティブのまとめたアナリスト予想では、S&P構成銘柄企業の第1・四半期利益は前年同期比25%増と、18年以来の好業績となる見通し。

<金先物> 米金利上昇やドル高などを背景に売られ、反落した。中心限月6月物の清算値(終 値に相当)は前日比13.40ドル(0.76%)安の1オンス=1744.80ドル。

<米原油先物> 需給不均衡への警戒感から売りが先行し、続落した。米国産標準油種WTIの中心 限月5月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.28ドル(0.47%)安の1バレル =59.32ドル。6月物は0.28ドル安の59.35ドルだった。

ドル/円 NY終値 109.65/109.68

始値 109.69

高値 109.95

安値 109.57

ユーロ/ドル NY終値 1.1896/1.1900

始値 1.1883

高値 1.1909

安値 1.1868

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 90*04.00 2.3363%

前営業日終値 90*13.00 2.3220%

10年債(指標銘柄) 17時05分 95*04.50 1.6620%

前営業日終値 95*13.00 1.6320%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*14.00 0.8659%

前営業日終値 99*18.00 0.8400%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.88 0.1588%

前営業日終値 99*30.50 0.1490%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 33800.60 +297.03 +0.89

前営業日終値 33503.57

ナスダック総合 13900.19 +70.88 +0.51

前営業日終値 13829.31

S&P総合500種 4128.80 +31.63 +0.77

前営業日終値 4097.17

COMEX金 6月限 1744.8 ‐13.4

前営業日終値 1758.2

COMEX銀 5月限 2532.5 ‐26.0

前営業日終値 2558.5

北海ブレント 6月限 62.95 ‐0.25

前営業日終値 63.20

米WTI先物 5月限 59.32 ‐0.28

前営業日終値 59.60

CRB商品指数 186.7427 ‐0.6260

前営業日終値 187.3687

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、米株高を好感 ファストリ

ワールド

訂正ブラジル大統領、米50%関税に報復示唆 緊張緩

ワールド

英首相がトランプ氏と会談へ、月内のスコットランド訪

ワールド

米国務省、人員削減計画を近く開始 影響受ける職員に
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 6
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中