ニュース速報

ビジネス

アングル:中国EV販売、テスラ「モデルY」参入で急成長も

2021年01月14日(木)07時10分

写真は5日、北京のテスラショールームに展示されたモデルY(2021年 ロイター/Tingshu Wang)

[北京/上海 12日 ロイター] - 中国の電気自動車(EV)市場は昨年、新型コロナウイルスの影響で低調にとどまったが、今年は相次いで新モデルが投入されることが追い風になり、販売が急増しそうだ。アナリストは、米テスラの電動SUV(スポーツタイプ多目的車)「モデルY」の価格設定が起爆剤になると予想している。

テスラは今月から、中国で現地生産したモデルYの販売を開始した。最低価格は33万9900元(約545万円)で、ダイムラーの「メルセデスGLC」やBMWの「X3」、アウディの「Q5L」といったサイズやターゲット市場が同じ現地生産のガソリンエンジンSUVの正規価格より10%安い。

中国乗用車協会のCui Dongshu事務局長は「(モデルYの)価格設定は従来の高級車市場の枠を壊し、EVの方が高価格だという既成概念を打ち砕くことになる」と述べた。

アナリストによると、これが競争の呼び水となってメルセデスやBMWなども相次ぎ新モデルを投入し、中国市場の需要を押し上げる見込み。中国は世界のEV販売のおよそ半分を占める。

中国汽車工業会やアナリストの試算によると、中国でバッテリー型EV、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車を合わせたいわゆる「新エネルギー車(NEV)」の販売は今年、30-40%伸びて約180万台に達する。

昨年は新型コロナで特に1-3月ごろに人々が外出を制限され、この時期に需要が冷え込んだ。これが響き、NEVの販売台数はわずか8%増の130万台と、政府が掲げた200万台の目標を大きく下回ったとみられる。

政府は昨年末までに段階的に終了するはずだったEV購入補助金の2年間延長を決定した。これも今年の需要を後押ししそうだ。現在の中国自動車市場全体に占めるNEV販売の比率はおよそ5%だが、政府は25年までに20%まで引き上げたいと考えている。

上海に拠点を置くコンサルティング会社オートモーティブ・フォーサイトを率いるイェール・ツァン氏は、一部の都市でNEV普及促進と大気浄化のため環境規制が厳格化されていることも、都市部の顧客にEV購入を迫る要素になると予想した。

NEV需要拡大を見越し、上海蔚来汽車(NIO)や小鵬(Xpeng)といった国内勢やテスラなどの外国勢がともに生産能力の増強を進めている。

業界関係者の話では、テスラの場合、今年中国で「50万台前後ないし50万台強」を生産し、うち2割程度を輸出に回す計画だ。昨年生産した15万台前後を大きく上回ることになる。

テスラのウェブサイトには、モデルYを予約した人に納車が始まるのは第2・四半期中と記されている。購入者は、セダンタイプのモデル3と同様、価格の1割を頭金として支払った段階でもう車を手に入れられる仕組みだ。

モデル3は既に1年余りにわたって中国で生産され、同国高級車セダン市場でダイムラーやアウディ、BMWが築いた牙城を切り崩しつつある。乗用車協会のデータによると、上海で製造されたモデル3の11月の販売台数は、ターゲット市場が重なるが、より高価なアウディの「A4」、BMWの「3シリーズ」、メルセデス「Cクラス」を上回った。同協会のCui氏は「競争的な価格設定が鍵になっている」と指摘した。

(Yilei Sun記者 Brenda Goh記者)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、リスク資産反発受け 円は衆

ワールド

トランプ氏、インドへの25%追加関税撤廃 ロ産石油

ビジネス

米FRBは年内1─2回の利下げ必要=SF連銀総裁

ワールド

トランプ氏、イランとの取引国に「2次関税」 大統領
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 2
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入った「最強ライバル」の名前
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 7
    鉱物資源の安定供給を守るために必要なことは「中国…
  • 8
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 9
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 10
    「エプスタインは悪そのもの」「悪夢を見たほど」──…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 8
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 9
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 10
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中