ニュース速報

ビジネス

米雇用、11月は24.5万人増に急減速 小売業減少 失業率6.7%

2020年12月05日(土)02時32分

米労働省が4日に発表した11月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比24万5000人増と、前月の61万人増(改定)から伸びが大幅に鈍化した。ケンタッキー州の就職センターの外に並ぶ人々。6月撮影(2020年 ロイター/Bryan Woolston)

[ワシントン 4日 ロイター] - 米労働省が4日に発表した11月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比24万5000人増と、前月の61万人増(改定)から伸びが大幅に鈍化した。

新型コロナウイルス感染が再拡大し、政府の財政支援に欠く中、雇用者の伸びは5カ月連続で減速し、5月以降で最小の増加となった。

市場予想の46万9000人増も下回った。

コモンウェルス・ファイナンシャル・ネットワークのブラッド・マクミラン最高投資責任者(CIO)は「失望的な内容で、パンデミック(世界的大流行)の第3波による雇用への影響が想定以上になることを示した」と指摘。「個人消費の持続的な力強い回復の見通しが危うくなる可能性がある。これは米議会への警鐘で、追加刺激策への支持が必要だ」と述べた。

業種別では小売業で3万5000人減少。通常は11月に季節雇用が増えるが、今年は新型コロナの影響を受けた。

一方、運輸・倉庫業は14万5000人増加し、雇用者数全体の伸びの5分の3近くを占めた。また、専門職・企業サービス、金融、ヘルスケアでも雇用が増加。建設業と製造業はそれぞれ2万7000人増えた。

マンハッタン・インスティテュートの上級研究員、ベス・エイカーズ氏は「このままでは、12月の全面的停滞や雇用減少が大きな驚きではなくなる」と懸念。「春先に失われた雇用がワクチン配布が成功するまでに戻るとは考えにくい」と述べた。

11月は国勢調査のために臨時雇用された労働者がさらに減少した。州・地方政府は学校などを中心に一段の雇用削減を実施。11月の政府部門の雇用者数は9万9000人減と3カ月連続で減少した。民間部門は34万4000人増だった。

雇用統計を受けて政府の追加支援策への期待が高まり、米株価は上昇。ドル指数は下落し、米債利回りは上昇した。

失業率は6.7%と、前月の6.9%から改善。市場予想は6.8%だった。しかし、コロナ禍で発生した「雇用されているが休職中」の人の扱いが引き続きデータのゆがみとなっている可能性がある。このゆがみがなければ、失業率は約7.1%だった。

労働参加率は0.2%ポイント低下し61.5%。女性の参加率が低下した。今回の景気後退では、女性が仕事に就く割合が高い業種への影響が大きい。

半年以上仕事がない人は390万人と38万5000人増加。長期失業者は11月の失業者全体(1070万人)の36.9%を占めた。経済的理由によりパートタイムで働く人は670万人で横ばいだった。

時間当たりの平均賃金は前月比で0.3%上昇。10月は0.1%上昇だった。11月は前年同月比で4.4%上昇。労働時間は週平均で34.8時間と横ばいだった。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米BofA、利益率16─18%に 投資家に中期目標

ワールド

トランプ関税の合憲性、米最高裁が口頭弁論開始 結果

ビジネス

FRB現行政策「過度に引き締め的」、景気にリスク=

ワールド

米、ICBM「ミニットマン3」発射実験実施 ロシア
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    カナダ、インドからの留学申請74%を却下...大幅上昇の理由とは?
  • 4
    もはや大卒に何の意味が? 借金して大学を出ても「商…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 7
    若いホホジロザメを捕食する「シャークハンター」シ…
  • 8
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 9
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中