ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、11月は低下 雇用再び50割れ

2020年12月02日(水)03時14分

12月1日、米供給管理協会(ISM)が発表した11月の製造業景気指数は57.5と、10月の59.3から低下した。新型コロナウイルス感染が全米で再び急増する中、新規受注が前月に付けた17年近くぶりの高水準から減速した。市場予想は58.0だった。写真は5月18日、米オハイオ州トレドFILE PHOTO: Dana Inc. assembly technicians wear face masks as they assemble axles for automakers, as the auto indust

[ワシントン 1日 ロイター] - 米供給管理協会(ISM)が1日に発表した11月の製造業景気指数は57.5と、10月の59.3から低下した。新型コロナウイルス感染が全米で再び急増する中、新規受注が前月に付けた17年近くぶりの高水準から減速した。市場予想は58.0だった。

10月の製造業景気指数は2018年11月以来の高水準だった。指数は50が景気拡大・縮小の節目となる。製造業は米経済の11.3%を占める。

11月は木材、機械、輸送用機器など16業種が拡大した一方、石油・石炭、印刷などが縮小した。

米国は新型コロナの第2波にさいなまれている。ロイターの集計によると、11月の新規感染者数は400万人超、死者数は3万5000人を超えた。新型コロナ危機により製造業生産に影響が出る可能性が高い。米連邦準備理事会(FRB)によると、製造業生産は依然として新型コロナのパンデミック(世界的大流行)前の水準を約5%下回っている。

政府による3兆ドルを超える新型コロナ支援対策の資金が枯渇する中、感染は急速に拡大している。政府の支援策により数百万人の失業者が生活費を賄うことができたほか、企業は従業員を維持することができ、第3・四半期国内総生産(GDP)は過去最大の伸びを記録した。

ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、ライアン・スイート氏は「新型コロナ感染者が米国内で増加している上、追加の財政刺激策が打ち出されない現状は、製造業を巡る状況を今後数カ月圧迫するだろう」と述べた。

先週発表された10月の消費支出は鈍化。この日の製造業景気指数と加えて、第4・四半期は経済成長が大幅に減速したとの見方を後押しする。

第3・四半期GDPは年率で33.1%増だった。第2・四半期GDPは31.4%減と、政府が統計を開始した1947年以降で最大の落ち込みだった。第4・四半期GDPの成長率予想は大方5%を下回っている。

新規受注指数は65.1と、10月に付けた04年1月以来の高水準だった67.9から低下。受注が鈍化する中で雇用指数は48.4と、19年7月以来初めて50を超えた10月の53.2から低下した。11月に雇用の伸びが一段と鈍化したとするエコノミストの見方と一致する内容だ。

MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「2021年が迫る中で、製造業での一時解雇に関するニュースは、計画的な解雇かどうかにかかわらず、経済の見通しを巡る明確な道筋がないことを示す懸念すべき兆候だ」と述べた。

ロイターのエコノミスト調査によると、11月の非農業部門雇用者数は50万人増となる見込みだ。10月は63万8000人増だった。雇用者数は6月に478万1000人増と過去最大の伸びを記録して以降、勢いを失っている。3月と4月に失った2220万人の雇用のうち、約1210万人の雇用が回復した。政府は4日に11月の雇用統計を発表する。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、法改正で訓練済み予備役200万人のウクライ

ワールド

カナダ、対印関係で国内の治安重視 外相表明

ワールド

アサド政権時代、集団墓地から秘密裏に遺体移送 犯罪

ワールド

米メタ、18歳未満が閲覧できるコンテンツを制限
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 6
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 7
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    あなたは何型に当てはまる?「5つの睡眠タイプ」で記…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中