ニュース速報

ビジネス

ANAが最大3321億円の公募増資 「ビジネスモデル変える投資」

2020年11月28日(土)00時01分

 ANAホールディングスは27日、公募増資で最大約3321億円を調達することを決議した。写真は羽田空港、10月撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 27日 ロイター] - ANAホールディングス<9202.T>は27日、公募増資で最大約3321億円を調達すると発表した。需要に応じて追加で売り出すオーバーアロットメントも実施し、最大1億4000万株を新規に発行する。発行済み株式数は最大で4割増え、自己株式を除く1株の価値は最大29.5%希薄化する。パンデミックの再来にも耐え得るよう、ビジネスモデルを変革するための投資に充てる。

調達資金のうち2000億円を発注済みで運航効率の良いボーイング787型機の購入資金や客室の仕様変更、無人・省人化に向けた空港設備などへの投資に充当する。残りの額を長期債務の返済に充て、財務基盤を強化する。10月の劣後ローン4000億円の実施などにより当面の運転資金は問題ないが、新型コロナウイルス感染拡大の長期化を想定し、需要変化に対応できるよう事業構造改革を加速する狙いだ。

中堀公博執行役員はオンラインでの説明会で、最大3000億円規模の公募増資を行う理由について「財務の健全性を保ったまま、スピード感を持って事業構造改革を推進するため」と説明した。

2021年3月期は5100億円の最終赤字となる見通しだが、今回の資本増強と10月に実施した劣後ローンの資本認定分2000億円を合わせれば、自己資本比率は「(9月末の)約32%の水準までほぼ回復させることができる」と指摘。構造改革も進めて「まずは40%に戻したい」とした。その上で長期的には「イベントリスクへの耐性を強めるために45%以上くらいともう少し上げていきたい」と述べた。

増資発表のタイミングについては「国内線旅客と国際線貨物の回復傾向が継続していることなども総合的に勘案した」と語った。構造改革の発表後1カ月かけて投資家に改革の内容を説明し、十分理解を得られたという。日本航空<9201.T>も18日に公募増資で最大1826億円を調達することを発表したが、「競合他社の影響は一切受けていない」と否定した。

<軸足をビジネスから観光に>

ANAでは今後、コロナを機に落ち込んだビジネス需要は以前の水準には戻らないが観光需要は拡大すると見ており、ビジネス需要に依存する従来型サービスのANAブランドの改革をまず急ぐ。主力機を777型から787型へ置き換え、運航コストの2割削減につなげるほか、座席の仕様もビジネスクラスからエコノミークラス中心に変更する。

中堀氏は「単に(航空機を)更新するのではなく、エアラインのビジネスモデルを変えるための投資だ」と説明。ANAブランドで「需要回復期に利益が上げられるよう改革を進める」とした。

公募増資による調達資金の使途はANA向け航空機購入が中心だが、傘下の格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーションの事業も強化するほか、パンデミックの再来に耐えられるよう、マイレージ会員の顧客基盤を活用した非航空事業のプラットフォームビジネスで「収入の柱を立てられるよう戦略をしっかり推進し、必要な資金は投入していく」とした。

*情報を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英GSK、対米300億ドル投資を計画 医薬品関税に

ワールド

ロシア、「サハリン1」巡り米国と協議深める用意=外

ビジネス

ベン&ジェリーズ共同創業者が退任、親会社ユニリーバ

ビジネス

NXHD、通期業績予想を再び下方修正 日通の希望退
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 9
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中