ニュース速報

ビジネス

米航空大手3社、大規模な早期希望退職を実施 コロナで事業停滞 

2020年05月29日(金)11時14分

 5月29日、米航空大手3社は新型コロナウイルスの世界的大流行の影響で事業が低迷するなか、新たに大規模な希望退職あるいは早期退職の募集を行っている。各社の社内文書で明らかになった。写真はワシントンで4月撮影(2020年 ロイター/Kevin Lamarque)

[28日 ロイター] - 米航空大手3社は新型コロナウイルスの世界的大流行の影響で事業が低迷するなか、新たに大規模な希望退職あるいは早期退職の募集を行っている。各社の社内文書で明らかになった。今秋に多数の従業員を一時帰休させる必要に迫られないよう雇用調整を進めている。

アメリカン航空グループ、デルタ航空、ユナイテッド航空はこれまで、合計で約10万人の従業員が自発的な一時帰休や早期退職を受け入れたと明らかにしている。

人員削減は航空需要の急減に対応したものだが、訓練に時間とお金がかかるパイロットを中心に、需要回復を見据えて最低限の従業員数を維持する必要もある。

ユナイテッドのスコット・カービー最高経営責任者(CEO)は28日に開かれた電話会見で航空会社があまりにも多くの従業員を一時帰休させれば、「事業回復がほぼ不可能になる」と指摘。希望退職を巡る同社と労働組合の協議は「生き残り」よりも事業回復に重きを置いていると語った。

航空業界では足元で予約取り消し数が減少し、予約数が改善しつつある。ただ、運航本数は通常の20%程度にとどまっている。

従業員数約9万1000人のデルタは28日、勤続年数が長い従業員が対象の早期退職制度と希望退職のそれぞれの募集について優遇条件の詳細を発表した。27日付の社内メモによると、どちらも退職金と医療関連給付、旅行に関する特典が含まれている。

エド・バスティアンCEOはメモで「自発的退職者全員が、仕事を最も必要としている人たちの雇用維持を助けることになる」とし、「事業環境の厳しさはいくら強調してもし過ぎることはない。当面その状況が続く」と述べた。

デルタによると、応募者の大半が8月1日に退職する見通し。

米国のコロナウイルス支援・救済・経済保障法(CARES法)に基づき政府の支援を受けている国内航空会社は10月1日まで強制的な解雇や減給を禁じられている。各社はその後について、従業員数にまだ余剰がある場合は強制的な削減があるかもしれないと警告している。

従業員数10万人超のアメリカン航空は従業員に宛てた手紙で、管理職と後方部門の人員数を約30%削減する方針を明らかにした。ユナイテッドも管理職と事務部門の人員について同規模の削減を計画している。

アメリカンのエリス・エバーワイン副社長は27日に従業員宛ての電子メールで「近い将来により小さな航空会社になる準備を進める必要がある」と記した。

アメリカンはパイロットや客室乗務員のような現場部門でも希望退職者を募る可能性について労組と協議しており、デルタもパイロットの労組と同様の協議を進めている。デルタの客室乗務員は労組を組織していない。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

村田製の今期4割の営業増益予想、電池事業で前年に5

ビジネス

米資産運用会社の銀行投資巡る監督強化案、当局が採決

ビジネス

第1四半期の中国金消費、前年比5.94%増 安全資

ビジネス

野村HD、1―3月期純利益は前年比7.7倍 全部門
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中