ニュース速報

ビジネス

欧州委、7500億ユーロのコロナ復興基金案 3分の2を補助金で

2020年05月28日(木)01時55分

欧州委員会は27日、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた域内経済への支援策として7500億ユーロの復興基金案を公表した。市場から調達する資金を融資や補助金として提供する。ブリュッセルの欧州委本部で昨年4月撮影(2020年 ロイター/Yves Herman)

[ブリュッセル 27日 ロイター] - 欧州連合(EU)の欧州委員会は27日、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた域内経済への支援策として7500億ユーロの復興基金案を公表した。市場から調達する資金を融資や補助金として提供する。

7500億ユーロのうち、3分の2に当たる5000億ユーロを補助金として供与。残り2500億ユーロは融資する。

国別では、新型コロナ流行の影響が深刻なイタリアとスペインが最も支援を受ける予定で、融資と補助金を合わせた両国への分配額は計3130億ユーロと、全体の4割を超える見込みだ。

欧州委のフォンデアライエン委員長は「みんながばらばらになり、国や地域、人々を置き去りにし、持てる国と持たざる国の集まりを善しとするのか、それとも一致団結して歩むのか、道は二つに一つだ」と述べた。

為替市場でユーロは1.0932ドルから1.1022ドルに上昇した。

5000億ユーロの補助金は独仏の提案に沿ったものだが、一部の国からは融資の形のみで資金提供すべきとの声も出ている。復興案にはEU全加盟国の同意が必要になる。

フランスのマクロン大統領は「迅速に動き、全加盟国が野心的な合意を果たすべき」と主張。一方、財政規律を重視する「倹約4カ国」の一角であるオランダの外交官は「各国の立場がかけ離れており、交渉には時間がかかる」との見方を示した。

EUのミシェル大統領は6月19日の会議で提案を協議するとした上で、夏期休暇前の合意を目指すと明らかにした。

基金の調達資金はいずれ返済が必要で、将来的にEU予算への拠出拡大やEUでの新税導入が必要になるとみられており、欧州委はプラスチックへの課税や排出量取引制度からの収入の一部、デジタルサービス課税、法人税の一部などを新たな財源として提案した。

2021―27年の7年間のEU長期予算(多年度財政枠組み、MFF)については1兆1000億ユーロ規模を見込む。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

村田製の今期4割の営業増益予想、電池事業で前年に5

ビジネス

米資産運用会社の銀行投資巡る監督強化案、当局が採決

ビジネス

第1四半期の中国金消費、前年比5.94%増 安全資

ビジネス

野村HD、1―3月期純利益は前年比7.7倍 全部門
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中