ニュース速報

ビジネス

米中「第1段階」合意でアップルなどIT株に追い風、今週の米株

2019年12月16日(月)07時49分

 12月13日、今週の米株式市場は、米中による「第1段階」の通商合意を受けて、アップルや他のハイテク株の大きなハードルが取り除かれる見通しだ。1月撮影(2019年 ロイター/Shannon Stapleton)

[サンフランシスコ 13日 ロイター] - 今週の米株式市場は、米中による「第1段階」の通商合意を受けて、アップルや他のハイテク株の大きなハードルが取り除かれる見通しだ。

第1段階の合意で米国は、スマートフォンやラップトップなど電子機器を含む1600憶ドル相当の中国製品を対象に15日に予定していた追加関税の発動を見送り、一部の発動済みの関税も引き下げる。一方、中国は米国からエネルギーや医薬品、農産物の輸入を拡大することで合意した。[nL4N28N3GZ]

合意が署名されれば、貿易摩擦による打撃の大きいアップルや半導体メーカーにとって安心材料となる。

ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブス氏は13日のリポートで「市場の関心は(15日の)追加関税に集中していた。第1段階の合意に達したことで追加関税を巡る短期的な懸念が取り除かれ、年末に向けてハイテク株に青信号が点灯したと言える」と指摘した。

貿易摩擦を巡る不透明感が続く中でも、米中が最終的に合意に至るとの期待感などから、アップルは年初来70%超上昇し、上場来高値を付けた。S&P500<.SPX>も同26%、S&P500情報技術指数<.SPLRCT>は同44%上昇している。

ただ、投資家の間では、通商合意が完全に相場に織り込み済みか、もしくはハイテク株や通商問題に敏感な他の銘柄に一段の上昇余地があるか見解が分かれている。

インバーネス・カウンセルの首席投資ストラテジスト、ティム・グリスキー氏は「一定の利食い売りが出ても驚きではない」とした一方、「(第1段階の)合意を受けて企業経営陣は景気を見通しやすくなり、投資を再開する可能性もある」と述べた。

ただ、ハイテク株は割高感が高まっており、来年の業績が予想ほど伸びない場合や、米中の通商関係が悪化した場合、株価が下落するリスクが高まる。リフィニティブによると、S&P500情報技術セクターの予想株価収益率は20倍を超え、2005年以来の高水準に達している。

リフィニティブI/B/E/Sによれば、ハイテクセクターの利益は今年が1%減、来年は約10%増と予想されている。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英アングロ、BHPの買収提案拒否 「事業価値を過小

ビジネス

為替、基調的物価に無視できない影響なら政策の判断材

ビジネス

仏レミー・コアントロー、1─3月売上高が予想上回る

ビジネス

ドルは156.56円までさらに上昇、日銀総裁会見中
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中