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NY市場サマリー(13日)

2019年12月14日(土)08時04分

[13日 ロイター] - <為替> ドルが主要通貨バスケットに対し小幅下落。米中の「第1段階」通商合意や英総選挙での与党保守党の大勝によって不確実性が一部解消され、安全資産としてのドルに対する投資妙味が薄まった。

トランプ米大統領はこの日、米中が「第一段階」の通商合意に到達し、15日に予定していた対中追加関税の発動を見送ると明らかにした。発動猶予と引き換えに中国は米農産物の購入を拡大していくと強調。さらに第二段階の合意に向けた交渉を直ちに開始すると表明した。[nL4N28N3GZ]

テンパスのディーリング・トーレーディング部門バイスプレジデントのジョン・ドイル氏は「今朝は多くのヘッドラインが飛び交い、一部は矛盾する内容だったが、結果的には今週末に発動が予定されていた対中関税が延期、もしくは撤回される見通しとなり、過度なサプライズはなかったと言える」と述べた。

主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は0.18%安の97.22。一時96.719まで下げた。

安全資産とされる円に対しては、ドルはほぼ横ばいで推移した。

オフショア人民元は一時上昇したものの、その後は対ドルで約0.9%安。

貿易問題に敏感な高リスク通貨への需要は引き続き低調で、豪ドルは対米ドルで0.59%下落した。

ポンド/ドルは1.31%高の1.3335ドル。英総選挙は、ジョンソン首相率いる与党・保守党が単独過半数議席を獲得し地滑り的勝利を収めた。ジョンソン首相は保守党政府が英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の完遂を付託されたと勝利宣言、来年1月31日にEUを離脱するとあらためて表明した。

<債券> 国債利回りが低下した。米中が通商交渉で「第1段階」の合意に達したものの、前日に関係筋の話として伝わったことを受け国債利回りは前日に大きく上昇。この日は買い戻しが入り、利回りは低下した

トランプ米大統領はこの日、米中が第一段階の通商合意に到達したと表明。15日に予定していた対中追加関税の発動を見送ることを明らかにした。

ジャネイ・モンゴメリ・スコット(フィラデルフィア)の首席債券ストラテジスト、ガイ・レバス氏は米中合意について「悲観論者と楽観論者が織り込んでいた予想の平均をとったような結果となった」と指摘。合意は前日の取引ですでに織り込まれていたとし、「実際に合意したとのニュースへの反応は薄かった」と述べた。

前日は関係筋の話として米中が原則的に合意したと伝わっており、米国債利回りは4週間ぶりの水準に上昇していた。

キャピタル・エコノミクス(ニューヨーク)のシニアエコノミスト、マイケル・ピアース氏は「第1段階の合意が署名されるものと仮定すると、関税発動に対する懸念が縮小し、経済への下向きリスクが後退するとの実感が増すというのが主要な影響となる」と指摘。ただUSバンクウエルスマネジメント(ミズーリ州)のシニア債券ストラテジスト、ダン・ヘックマン氏は、「第1段階の合意に達するだけでも何年かかかった」とし、来年11月の米大統領選挙までに米中交渉が一段と進展するか懐疑感を示した。

終盤の取引で10年債利回りは1.819%と、前日終盤の1.899%から低下。30年債利回りは2.254%と、2.321%から低下した。2年債%利回りは1.599%。前日終盤は1.67%だった。

米中通商問題が一段落したことで、米国債の利回り曲線はスティープ化。2年債と10年債の利回り格差は一時26ベーシスポイント(bp)と、4週間ぶりの水準に拡大した。

商務省がこの日に発表した11月の小売売上高は前月比0.2%増と、市場予想の0.5%増を下回った。ただ通商合意への期待が市場の焦点となっていたため、相場に大きな影響は及ぼさなかった。

<株式> 米中が通商交渉で「第1段階」の合意に達したことを受け午前の取引で主要3指数が一時過去最高値を更新したものの、ダウ工業株30種とS&P総合500種はほぼ横ばいで引けた。ナスダック総合は主にアップル上昇したことで上昇して終了した。

トランプ米大統領はこの日、米中が「第一段階」の通商合意に到達したと表明。15日に予定していた対中追加関税の発動を見送ると明らかにした。

ノーザントラスト・ウエルスマネジメント(シカゴ)の地域ポートフォリオマネジャー、スニサ・トーマス氏は「通商を巡る緊張が一段と高まるリスクは当面は回避された。これはプラス要因となる」と述べた。

このほかこの日は、12日投開票の英総選挙で地滑り的勝利を収めた与党・保守党を率いるジョンソン首相が英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の完遂を付託されたと勝利宣言を行い、来年1月31日に離脱するとあらためて表明した。

トーマス氏は「年初から市場の重しになっていた2つの大きなリスクが少なくとも当面は解消した」と指摘。ただ「これまでに相場はすでに上向いていたため、今日はそれほど大きく上げなかった」とし、「ブレグジット交渉を巡っては今後、政策の遂行が必要になるとの認識が出ているほか、米中協議については合意の詳細が重要になる」と述べた。

S&P総合500種は週初から0.7%上昇。過去10週間のうち9週で上昇した。好調な米経済指標や連邦準備理事会(FRB)の金融緩和などが株価押し上げ要因となり、S&P総合500種は年初から26%上昇している。

個別銘柄ではソフトウエア大手アドビが3.9%高。第4・四半期決算で売上高と利益が市場予想を上回ったことで買いが入った。

半導体大手ブロードコムは3.8%安。前日発表の第4・四半期決算は収益が市場予想を上回ったものの、2020年の見通しが精彩を欠いたことで売りが出た。

ソフトウエア大手オラクルは3.5%安。前日発表の第2・四半期(9─11月)決算は、クラウドサービスの収入が増えたもののソフトのライセンス販売の不振は補えず、売上高が市場予想を下回った。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.19対1の比率で上回った。ナスダックでは1.07対1で値下がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は約74億株。直近20営業日の平均は68億株。

<金先物> 米政局不安などを背景に買われ、反発した。中心限月2月物の清算値は前日比8.90ドル(0.60%)高の1オンス=1481.20ドル。

トランプ米大統領のウクライナ疑惑で、下院司法委員会は13日、トランプ氏を「権力乱用」と「議会妨害」で弾劾訴追する訴追状案を可決した。これを受けて、米政局混迷に対する警戒感が広がり、安全資産として金が買われた。

一方で、中国政府は13日、米中両政府が貿易協議の「第1段階」で正式合意したと発表。両国は15日に予定していた制裁・報復関税の発動見送りを決定した。ただ、市場では貿易協議の進展具合に慎重な見方も根強く、金は一時売られたものの下値は堅かった。

<米原油先物> 米中両国が貿易協議の「第1段階」で正式合意したことを好感し、続伸した。米国産標準油種WTIの1月物の清算値は前日比0.89ドル(1.50%)高の1バレル=60.07ドルと、中心限月ベースで9月16日以来約3カ月ぶりの高値を付けた。2月物は0.92ドル高の59.98ドルだった。

米中両国は、互いの輸入品に課している追加関税を段階的に撤回するとともに、15日に予定していた米国の制裁関税と中国の報復関税の発動を見送る。この発表を受けて、世界的なエネルギー需要の先行きに対する警戒感が後退。原油相場は一時60.48ドルまで上昇した。外国為替市場ではドル安・ユーロ高が進行し、ドル建てで取引される原油は割安感から買われやすくなった。

さらに、英国の総選挙で保守党が大勝し、欧州連合(EU)離脱をめぐる不透明感が払拭されるとの期待が広がったことも、投資家のリスク選好意欲を高めた。

ドル/円 NY終値 109.36/109.39

始値 109.65

高値 109.67

安値 109.21

ユーロ/ドル NY終値 1.1119/1.1123

始値 1.1173

高値 1.1183

安値 1.1112

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 102*20.00 2.2539%

前営業日終値 102*22.00 2.2510%

10年債(指標銘柄) 17時05分 99*10.50 1.8243%

前営業日終値 99*11.50 1.8210%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*08.25 1.6565%

前営業日終値 99*08.75 1.6530%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*25.38 1.6078%

前営業日終値 99*25.63 1.6040%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 28135.38 +3.33 +0.01 <.DJI>

前営業日終値 28132.05

ナスダック総合 8734.88 +17.56 +0.20 <.IXIC>

前営業日終値 8717.32

S&P総合500種 3168.80 +0.23 +0.01 <.SPX>

前営業日終値 3168.57

COMEX金 2月限 1481.2 +8.9 <0#GC:>

前営業日終値 1472.3

COMEX銀 3月限 1701.2 +6.3 <0#SI:>

前営業日終値 1694.9

北海ブレント 2月限 65.22 +1.02 <0#LCO:>

前営業日終値 64.20

米WTI先物 1月限 60.07 +0.89 <0#CL:>

前営業日終値 59.18

CRB商品指数 183.8092 +0.8928 <.TRCCRB>

前営業日終値 182.9164

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