ニュース速報

ビジネス

パリ協定は米経済に貢献し雇用創出 大手企業・労組が声明

2019年12月03日(火)11時18分

 地球温暖化対策を話し合う国連気候変動枠組み条約の第25回締約国会議(COP25)が開幕した2日、世界の大手企業や労働組合が共同声明を発表、気候変動対策への取り組みは米国の経済に貢献して雇用創出につながると強調するとともに、米国は地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」にとどまるべきだと主張した。写真はCOP25の会場前でデモを行う環境活動家ら(2019年 ロイター/Juan Medina)

[ニューヨーク 2日 トムソン・ロイター財団] - 地球温暖化対策を話し合う国連気候変動枠組み条約の第25回締約国会議(COP25)が開幕した2日、世界の大手企業や労働組合が共同声明を発表、気候変動対策への取り組みは米国の経済に貢献して雇用創出につながると強調するとともに、米国は地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」にとどまるべきだと主張した。

トランプ米大統領は、パリ協定への参加で米国は数兆ドル規模のコスト負担を強いられると指摘。多くの雇用が失われ、石油やガス、石炭業界、製造部門に打撃が及ぶとして、先月、パリ協定からの離脱を正式に通告し、手続きを開始した。

共同声明に名を連ねた企業はアップルやテスラ、ユニリーバ、ロイヤル・ダッチ・シェル・グループなどで、200万人以上の米国人を雇用している。また労働組合は約1250万人の組合員を代表している。

声明は「パリ協定にとどまることで米国は、世界市場で競争力を強化し、移行を支援する新技術の導入を主導するほか、国内の労働者や地域社会に貢献し、持続可能な雇用や企業を作り出す」と指摘している。

国際労働機関(ILO)は、環境に配慮した経済のための政策を推し進めることで、2030年までに2400万の雇用が生まれると指摘。気候変動対策への取り組みでは、職を失う人よりもはるかに多い600万以上の雇用が再生可能エネルギー分野で生まれると試算している。

一方、気温上昇が続けば、2030年までに8000万人が職を失う恐れがあり、その打撃は貧困国で特に大きいとILOは指摘している。

企業の経営陣や労組幹部らは、再生可能エネルギーの導入に伴い、石油業界などで働く人が失業する恐れがあり、そうした人達に配慮した「公正な移行」が必要だと訴えた。

グテーレス国連事務総長も「(再生可能エネルギーへの)移行期間では、マイナスの影響を受ける人々が常にいる」と述べ、多くの人々はグリーン経済の恩恵を受けるが、職を失う可能性がある人々に対する政策が必要だと説明した。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU・仏・独が米国非難、元欧州委員らへのビザ発給禁

ワールド

ウクライナ和平の米提案をプーチン氏に説明、近く立場

ワールド

パキスタン国際航空、地元企業連合が落札 来年4月か

ビジネス

中国、外資優遇の対象拡大 先進製造業やハイテクなど
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 8
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 9
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 10
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中