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ヤフーとLINEが経営統合、IT業界の「第3極」目指す

11月18日、SNSサービスのLINEとヤフーを傘下に持つZホールディングス(HD)、経営統合について基本合意を締結することを決議したと発表した。写真はLINEの出澤剛CEO。2014年2月26日、東京で撮影(2019年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 18日 ロイター] - ヤフーを傘下に持つZホールディングス(HD)<4689.T>とSNSサービスのLINE<3938.T>は18日、経営統合に関する基本合意書を締結したと発表した。それぞれのユーザー基盤や経営資源を集約し、アジアや世界に展開するリーディングカンパニーになることを目指すとしている。
ZHDの親会社ソフトバンクとLINEの親会社NAVERが折半出資する共同出資会社がZHDを傘下に置き、その下に完全子会社としてヤフー、LINEが入る。今年12月をめどに、法的拘束力のある最終契約の締結を目指し協議・検討を進めていく方針。AI(人工知能)や検索、通信、広告、決済、コミュニケーションなど、多様な分野での協業を想定する。20年10月の統合完了を目指す。
Zホールディングスの川邊健太郎社長とLINEの出澤剛社長は、統合会社の共同CEOに就任する。統合会社の社長はZHDの川邊氏。ZHDは東証一部上場を維持する。統合後の株主比率は、一般株主約35%、共同出資会社約65%の見込み。
<巨大IT企業の脅威>
同日会見したZHDの川邊社長は「日本、アジアから世界をリードするAIテックカンパニーを目指したい」と述べた。親会社を含めたグループシナジーを利かし、米中のIT大手に次ぐ「第3極」(川邊社長)を目指すという。
LINEの出澤社長は、統合に動いた背景として、米グーグルや米アマゾンなど世界的な巨大IT企業の存在への危機感を挙げた。ZHDの川邊社長は、高齢化や自然災害など解決されていない日本特有の社会的な課題があると指摘し、ZHDとLINEが連携すれば、ITでの解決につながり得るなどと説明した。
まず日本にフォーカスし、社会課題の解決に取り組む方針。そのソリューションを、LINEが強いタイや台湾といったアジア各国で提供した上で、世界規模に展開していく考えを示した。
世界展開の壁を乗り越えるにあたって、LINEの出澤社長は「今すぐに解決するというアイデアあるわけではない。われわれの強いアジアを中心にしっかり成長するのが第一ステップ」と述べた。
両社の年間投資額は約1000億円規模。統合で共通化する部分が出てくることが想定され「迫力ある投資ができる」(LINEの出澤社長)と強調した。
ZHDの川邊社長は、GAFA(アマゾン・ドット・コム、アップル、フェイスブック、アルファベット傘下グーグル)やBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)といった米中のIT大手に対抗するには「集中しないといけない」と指摘。集中するポイントはAIだとした。
両社の統合は「対等の経営統合」(ZHDの川邊社長)という。ユーザーは補完的で、年齢層ではヤフーがシニア、LINEが若者に、サービス面でもヤフーがeコマース、LINEがメッセンジャーに、それぞれ強みがあるとの見方を示した。ヤフーの親会社ソフトバンクとも通信やモビリティサービス(MaaS)、NAVERとはAI分野での連携があると説明し、グループとしてのシナジーもアピールした。
ソフトバンクとNAVERは共同で、LINEの非公開化を目的とし、LINEの普通株式と米国預託証券、新株予約権、新株予約権付社債のすべてを公開買い付け(TOB)する。TOB価格はLINE普通株式1株当たり5200円。13日終値4585円に対し13.41%のプレミアムとなる。具体的なTOB期間は未定。
ソフトバンクが保有するZHD全株をLINEに移管する。ソフトバンクとNAVERの間で、一方の保有するLINE株を他方に一部譲渡することなどを通じて、議決権割合が半々の共同出資会社とする取引を行う。共同出資化後のLINEはソフトバンクの連結子会社となる。LINEは新たに完全子会社を設立し、LINEの全事業を承継させる吸収分割をする。
会社分割の効力発生後、ZHDを株式交換完全親会社、LINEの承継会社を株式交換完全子会社、その対価をZHD株式とする株式交換を実施する。LINEに、LINEの承継会社の株式1株に対しZHD株式11.75株を割り当て交付する。
経営統合は、競争法や外為法など法令上で必要な許認可の取得を前提とする。提携協議は6月中旬から始め、経営統合を含む検討に発展した。
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