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焦点:半導体株反発でも疑心暗鬼、「米中冷戦」長期化に身構える投資家

2018年10月12日(金)19時49分

 10月12日、急落後の日本株市場は、いったん落ち着きを取り戻した。写真は都内で昨年9月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 12日 ロイター] - 急落後の日本株市場は12日、いったん落ち着きを取り戻した。今週に入って大きく売られた半導体関連も急伸したが、自律反発的な買い戻しとの見方もあり、通商・貿易面での米中の対立が長期化することに伴う事業への悪影響に対する懸念は消えていない。米中首脳会談が実現し両国の緊張関係がどこまで和らぐのか、市場参加者は計りあぐねている。

<最も売られた台湾株>

世界同時株安となった11日のアジア市場。市場参加者の目を引いたのが、台湾・加権指数<.TWII>だった。下落率は6.3%と日経平均<.N225>の3.9%、上海総合指数<.SSEC>の5.2%を上回り、アジアの主要株価指数で最大の下げとなった。

台湾の産業といえば半導体や電機だ。半導体を受託製造する台湾積体電路製造(TSMC)<2330.TW>の時価総額は約1898億ドル。トヨタ自動車<7203.T>(約1917億ドル)と肩を並べる。「グローバル的に半導体株が売られたことが、台湾株の下落に直結した」(日本の中堅証券)という。11日のTSMCの株価は6.8%安と急落している。

直近7営業日の主な半導体株の騰落率をみると、米エヌビディアが18.0%安。 米アプライド・マテリアルズが15.8%安と、2桁の下げとなる銘柄もみられる。

下落の引き金を引いた材料として挙げられているのが、「スパイ半導体」を巡る報道だ。ブルームバーグ・ビジネスウイークは、17人の匿名の情報機関関係者や企業関係者の話として、中国のスパイによって約30社の企業や米政府機関が使用する機器にチップが組み込まれ、中国政府が内部ネットワークにアクセスできるようにしたと伝えた。

「仮に報道が事実ならば、トランプ米大統領は中国の半導体企業に対し圧力を掛け、半導体製造装置などを中国に輸出することを禁じる可能性がある。そうなれば半導体業界への打撃は計り知れない」(国内証券)との声が出ている。

<米中対立の長期化の懸念>

世界的な株安に見舞われる前日の10日には、中国の通信機器・スマートフォン大手、華為技術(ファーウェイ)が、自社のサーバーに搭載する人工知能(AI)向け半導体を発表。中国企業による競合製品の登場を嫌気し、エヌビディア株に売り圧力が強まった。

米国が中国企業の台頭を自国産業への脅威と受け止め、米中関係がさらに緊迫化し、半導体産業にダメージが及ぶとの憶測が、半導体株の売りにつながったようだ。

直近では中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)<0763.HK><000063.SZ>に米国が制裁を加えたことも記憶に新しい。

ピクテ投信投資顧問・投資戦略部ストラテジスト、糸島孝俊氏は、米中関係について「貿易『冷戦』状態の中、戦況が激しくなったり、休戦に近くなったりを繰り返すだろう」と指摘。「米中問題が長期化するという前提のもとに、立ち向かわないといけない」と話す。

<米中首脳会談実現なるか>

日経平均急落後の12日、東京エレクトロン<8035.T>は4%を超す上昇となった。SUMCO<3436.T>は8%を超す上昇となったが、いずれも「売られ過ぎの修正の範囲内」(別の国内証券)との見方が多い。

年初来の下落率は東京エレクトロンが27.8%、SUMCOが44.4%とすでに大きく売り込まれおり、バリュエーション的には割安な水準にある。それでも積極的に買いを入れる姿勢は限定的のようだ。

岡三証券・日本株式戦略グループ長の小川佳紀氏は「米中の対立の根底には、知的財産を巡る問題がある。その核心が半導体にあるとすれば、半導体業界への風当たりは厳しくなる。中国の半導体を他国が使わない状況となれば、米国や日本の半導体関連企業への影響も避けられない」と指摘する。

こうした中、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は11日、トランプ米大統領が11月末にアルゼンチンで開催される主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席する際、中国の習近平国家主席と会談する可能性があると報じた。

三井住友アセットマネジメント・シニアストラテジストの市川雅浩氏は「米中首脳の会談が仮に実現したとしても、具体的なことが決まるかどうかは懐疑的なところがある」と分析。半導体株については「会談に懐疑的な見方が続けば、上値の重い展開となりそう」と話す。

一方、「米中首脳会談を行うのであれば、トランプ米大統領も強気一辺倒にはなりにくい。トランプ大統領の姿勢を変化させるための催促相場とも言える」(いちよしアセットマネジメント・上席執行役員の秋野充成氏)との声もある。

12日の中国人民元は、対ドルで小幅に下落。中国税関総署が同日発表した9月の貿易統計で、中国の輸出が予想以上に増加したことを受け、米中貿易摩擦が激化するとの懸念が広がったことが背景にあるという。

通商・安全保障を巡る米中対立に市場心理が揺さぶられる構図に変化はなく、楽観と悲観が渦巻く相場が続きそうだ。

(長田善行 編集:田巻一彦)

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