ニュース速報

ビジネス

中国政府の通貨防衛能力を懸念せず=IMF調査局長

2018年10月09日(火)14時26分

 10月9日、国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストを務めるモーリス・オブストフェルド調査局長は、最近の人民元の下落について懸念しておらず、中国政府が自国通貨を防衛する能力に問題はないと述べた。写真は人民元紙幣。北京で2010年11月撮影(2018年 ロイター/Petar Kujundzic)

[ヌサドゥア(インドネシア) 9日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストを務めるモーリス・オブストフェルド調査局長は9日、最近の人民元の下落について懸念しておらず、中国政府が自国通貨を防衛する能力に問題はないと述べた。

局長は人民元下落についての質問に「それが問題だとは思わない」と答えた。

インドネシアのバリ島で開かれている国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会の記者会見では、中国政府が成長刺激策と金融の安定性を確保する政策の間で「バランスを取る」必要があるとの認識も示した。

人民元は今年、強い売り圧力にされされており、市場の懸念が特に強かった3月から8月までの期間には8%超下落した。ただし、当局が支援に動く中、人民元はそれ以降は下げ幅を縮小している。

中国人民銀行(中央銀行)はきょう、人民元の対ドル基準値を1ドル=6.9019元に設定。心理的に重要な節目の7.0元が迫った。

オブストフェルド氏は、金融市場は人民元の短期的な動きに神経質になり過ぎていると主張。人民元はここ数年、ボラティリティーが高まることがあっても、すぐに回復することが多かったとの認識を示した。

同氏は、IMFは中国当局に対して、成長率を過度に重視するのではなく、ショックに耐えられるよう成長の質や持続性を目指すべきだと提言してきたと指摘した。

同氏は、中国が信用拡大抑制策を講じる一方で、対米貿易摩擦を踏まえ成長押し上げ策を取ることは理解できるとした上で、「金融セクターの安定やデレバレッジの必要性との間でバランスを取る必要がある。地方政府の資金調達をより厳格に監視しなければならない」との見方を示した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 7

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 8

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中