ニュース速報

ビジネス

中国固定資産投資、過去最低の伸び 鉱工業生産は予想上回る

2018年09月14日(金)18時40分

 9月14日、中国国家統計局が発表した1─8月の固定資産投資は前年同期比5.3%増と、伸び率が過去最低だった1─7月から一段と鈍化し、エコノミスト予想も下回った。提供写真(2018年 ロイター/China Daily)

[北京 14日 ロイター] - 8月の中国の経済指標は、内需が減速しており、政府の支援策の効果が表れるのは、なお時間を要するとの見方を裏付ける内容となった。

14日に発表された鉱工業生産と小売売上高は市場予想を上回ったものの、過去1週間に発表された他の経済指標は、大半が弱い内容だった。

ノムラはリポートで「中国経済全体が減速し続けており、今後数カ月、さらに深刻化する可能性がある」と指摘した。

ノムラや、その他の中国ウォッチャーは、今後数カ月に中国政府から景気支援策や米国との貿易戦争を克服するための施策がさらに打ち出されると予想している。しかし、高水準の債務を踏まえ、かつてほど景気をてこ入れする余地はない、との見方も一部から出ている。

<鉱工業生産と小売売上高は予想上振れ>

鉱工業生産と小売売上高は市場予想を上回る伸びとなり、数字上は、8月の指標の中で数少ない明るい材料を提供した。

しかし、エコノミストの大半は、事業環境がさらに悪化すると予想し、伸びは維持できないとみている。

8月の鉱工業生産は前年同月比6.1%増加、(予想は6.0%)、小売売上高は同9.0%増加した。アナリストの予想は、鉱工業生産が6.0%増加、小売売上高は8.8%増加だった。

ただ、鉱工業生産の内訳を見ると、自動車や輸送機器など主要産業では生産が減少した。乗用車の生産は小幅な増加にとどまり、粗鋼生産の伸びは7月の3分の1に減速した。

<投資は引き続き低調>

固定資産投資統計も、中国経済が一段と勢いを失っていることを示した。

1─8月の固定資産投資は前年同期比5.3%増。伸び率が過去最低だった1─7月から一段と鈍化し、エコノミスト予想も下回った。

ロイターの算出で8月の固定資産投資は前年比4.6%増だった。

1─8月のインフラ投資は4.2%増。1─7月の5.7%から伸びが鈍化した。

政府はここ数カ月、道路や鉄道などのインフラ事業の承認を加速しているが、アナリストは、インフラ建設が景気減速に歯止めをかけ始めるには、一定の時間が必要とみている。

国家統計局の報道官は、固定資産投資の伸びは安定化すると予想し、伸びの拡大は見込みづらいとの認識を示した。

1─8月の民間の固定資産投資は8.7%増。1─7月の8.8%から減速した。

また、国家統計局の発表に基づきロイターが算出した8月の不動産投資は前年同月比9.2%増で、7月の13.2%増から伸びが鈍化した。[nL3N1W02MB]

当局は不動産投機抑制の手を緩めていないが、今後、特に貿易戦争がエスカレートすれば、中国経済のリスクを著しく高める可能性がある。

<景気てこ入れ>

米国との貿易摩擦が深刻化し、当局は数カ月前から銀行システムに大量の資金を供給したり、銀行に中小企業向け融資の拡大を要請している。

中国の当局者は成長支援に政策の軸足を移しているが、アナリストは効果が表れるまでに時間がかかるとみている。また米国がより幅広い製品に関税を課せば、中国企業への打撃は一部しか緩和されないと指摘している。

中国政府高官は、過去の景気後退期のような大型の刺激策は打ち出さない考えを示しているが、多くのエコノミストは米国の関税措置拡大で景気が大きく減速した場合、当局は成長支援策の強化に乗り出す可能性があるとみている。

INGのアイリス・パン氏は、今年と来年の景気刺激策について、世界的な金融危機の際に中国が打ち出した措置と同規模になると予想する。

同氏は最近のリポートで「2018年末までに5兆元、19年前半にさらに5兆元の財政出動が見込まれる」とし、「合計約10兆元という規模は、(当時のGDP成長率を踏まえれば)2009年の4兆元の刺激策と同等の規模になる」と指摘した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ホンダ、中国四輪工場の生産再開を2週間延期 半導体

ワールド

中国外相「世界の裁判官」認めず、米国のマドゥロ氏拘

ワールド

北朝鮮、4日に極超音速ミサイル発射実験 米をけん制

ビジネス

午前の日経平均は大幅反発、海外・個人マネー流入の思
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 2
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    2026年の節目に問う 「めぐみの母がうらやましい」── …
  • 5
    野菜売り場は「必ず入り口付近」のスーパーマーケッ…
  • 6
    ベネズエラ攻撃、独裁者拘束、同国を「運営」表明...…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    「対テロ」を掲げて「政権転覆」へ?――トランプ介入…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中