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米ハーレー、欧州向け生産を米国外に移転へ トランプ氏は批判
6月25日、米オートバイ製造大手ハーレー・ダビッドソンは、欧州向けオートバイの生産を米国から海外に移す方針を明らかにした。写真はドイツ・ハンブルクで24日開かれたハーレー・ダビッドソン愛好者によるイベントのようす(2018年 ロイター/Fabian Bimmer)
[25日 ロイター] - 米オートバイ製造大手ハーレー・ダビッドソン
米国が今月から欧州連合(EU)などに適用した鉄鋼・アルミニウム製品への輸入関税に対抗し、EUが農産物やオートバイを含む米製品に25%の関税措置を発動。ハーレーはEUでのコスト増に伴う値上げは実施せず、生産移転で対応する方針。
株価はこの日の取引を約6%安で終了。アナリストの間では、EUの輸入関税の影響を巡る懸念から、同社の利益予想を引き下げる動きが出ている。
トランプ氏はツイッターで「全ての企業の中でハーレー・ダビッドソンが最初に白旗を振るとは驚きだ。同社のために最大の努力をしてきたが、最終的に欧州への販売で同社は関税を支払わないことになる」と述べ、「税金はハーレーの言い訳に過ぎない、忍耐強くあるべきだ」と批判した。
ハーレーの規制当局への提出文書によると、EUの報復関税によって米国から欧州に輸出するオートバイ1台当たりのコストが平均約2200ドル増加する。
同社がフランスで販売する最も安いモデルは7490ユーロ(8766ドル)。
同社は、EUの報復関税の影響で、年末までのコストが3000万─4500万ドル増え、通年では8000万─1億ドル拡大するとの見通しを示した。
ハーレーは「拡大するコストを販売業者や顧客に転嫁すれば、欧州事業に即時かつ永続的な悪影響が及ぶと確信している」との認識を示した。
ベアード・エクイティ・リサーチは顧客向けノートで「ハーレーがEUで需要を守る決定を下したことは、市場の長期的な健全性にとって賢明」と指摘。「ただ、影響緩和への明確な道筋が示されるまで、短期的影響が業績予想や同社に関する見解への重しになると見込む」とした。
トランプ氏は昨年の大統領就任の際に、ハーレーなど国内製造業を再び偉大にすると宣言したが、実際には、トランプ政権の通商政策は同社のコスト負担につながっている。同社は4月に、鉄鋼・アルミニウム輸入関税により今年のコストが1500万─2000万ドル増加するとの見通しを示していた。
また、トランプ政権が環太平洋連携協定(TPP)離脱を表明したことを受けて、タイの工場建設を決めている。
米ホワイトハウスのナバロ通商製造政策局長はこの日、CNBCに対し、米政権はハーレーが国内生産を拡大することを求めていると述べた。
同社が2017年に欧州で新規販売したオートバイは4万台近くに上り、同社の販売の16%強を占めた。EUは、米国に次ぐ第2の収入源となっている。
同社は欧州に生産施設は持っておらず、米国外ではブラジル、インド、タイに組立工場がある。米国外での生産拡大計画は最低でも9カ月から1年半の時間を要するとの見通しを示した。
EU報復関税による財務への影響や対応策を巡る詳細は、7月24日の第2・四半期決算に合わせ発表するという。
ベアード・エクイティのアナリストはハーレーの18年1株利益見通しを3.90ドルから3.70ドルに引き下げ、19年は4.20ドルから3.85ドルに下方修正した。
CFRAリサーチは今後12カ月のハーレーの目標株価を49ドルから47ドルに引き下げた。
株価は、欧米間の貿易摩擦が表面化した3月初旬以降では約9%、昨年12月末からは18%超値下がりしている。
*内容を追加しました。