ニュース速報

ビジネス

米FRBが25bpの利上げ決定、年内3回の利上げ見込む

2018年03月22日(木)06時44分

 3月21日、米FRBが利上げを決定した。写真はパウエル議長。ワシントンで2月撮影(2018年 ロイター/Joshua Roberts)

[ワシントン 21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は21日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ1.50─1.75%とすることを決定した。

今年についてはあと2回、合計3回の利上げを予測していると表明。減税と政府支出が景気浮揚要因となりインフレが押し上げられ、将来的な金融引き締めにつながるとの自信をFRBが深めていることが示唆された。

今年の利上げ回数が計3回か計4回になるかを巡り、メンバーの意見は分かれたもようだ。利上げ回数見通しは、来年が3回、2020年は2回とした。

今回の利上げは予想通り。ロイターが今月5─13日に実施した調査では104人のエコノミスト全員が利上げが決定されるとの予想を示していた。

2月初めに就任したパウエル議長の下での初めてのFOMCとなった今回の会合で、FRBは長らく目標の2%を下回ってきたインフレ率はようやく上向くとの見通しを示すとともに、経済は最近になり勢いを増したとの見方を表明。声明は「経済見通しはここ数カ月で強まった」とした。

このほか長期中立金利の見通しもやや引き上げ、現在の緩やかな利上げサイクルが予想より長期にわたり継続する可能性があることを示唆した。

パウエル議長は会合後の記者会見で、FRBは緩やかに利上げを実施していく軌道にとどまるとしながらも、物価動向には警戒する必要があるとの姿勢を表明。直ちにインフレが加速する兆候はみられていないとし、「われわれは中道をとろうとしている」と述べた。

FRBが示した経済成長率見通しは、今年が2.7%と前回昨年12月時点の予想(2.5%)を上回った。来年分も前回予想から引き上げた。

コア個人消費支出(PCE)価格指数の見通しは年末時点で1.9%と前回予想と変わらず、来年はFRB目標をやや上回るとした。

失業率見通しは年末までに3.8%、長期でも4.5%と、いずれも前回予想から改善した。前月の失業率は4.1%だった。

フィッチ・レーティングス(ロンドン)のエコノミスト、ブライアン・クルトン氏は「FRBは自信を深めているもようだ」と指摘。ジョン・ハンコック・インベストメンツの市場ストラテジスト、マット・ミスキン氏は、「この先の利上げに関するガイダンスは当初の予想よりもややタカ派的だった。2019年は利上げペースは加速するものとみられる。ただ今年の予想についてはあまり変化はなかった」とし、「パウエル新議長はややタカ派的なトーンで任期を開始したもようだ」との見方を示した。

今回のFOMC前は、物価圧力がより顕著になるまでFRBが政策引き締めに向けた期待を高めるかどうか、アナリストの間で意見が分かれていた。足元では貿易戦争を巡る懸念も台頭。パウエル議長は「これまでは控えめなリスクとされていたものだが、見通しに対するより大きなリスクとなっている」と指摘。ただ、貿易を巡る緊張の高まりによりFRBの景気見通しは影響を受けなかったとの見解を示した。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

仏GDP、第3四半期確報は前期比+0.5% 速報値

ワールド

東南アジアの洪水、死者183人に 救助・復旧活動急

ビジネス

電気・ガス代支援と暫定税率廃止、消費者物価0.7ポ

ワールド

香港火災、死者128人に 約200人が依然不明
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 7
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 8
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中