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トヨタなど11社、4年で水素ステーション80カ所建設 国家戦略推進
3月5日、トヨタ自動車など計11社は、燃料電池車(FCV)の燃料となる水素の充填設備(水素ステーション)の整備を推進する新会社を設立し、2021年度までに全国で80カ所を建設する計画を発表した。写真はトヨタのトヨタFCV Plus。デトロイトで昨年1月撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)
[東京 5日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>など計11社は5日、燃料電池車(FCV)の燃料となる水素の充填設備(水素ステーション)の整備を推進する新会社を設立し、2021年度までに全国で80カ所を建設する計画を発表した。水素ステーションは設置費用が高額なことなどが課題で、普及が思うように進んでおらず、新会社を通じて「オールジャパン」で普及を加速させる。
新会社名は「日本水素ステーションネットワーク合同会社(JHyM=ジェイハイム)」。社長に就いたトヨタの菅原英喜氏は5日の会見で、新会社の取り組みは「国家戦略の一部」と強調。世界で初めて「金融投資家などの資金を活用し、インフラ事業者の初期投資を低減する」と説明した。金融投資家としては、新会社設立に参画した日本政策投資銀行、豊田通商<8015.T>に加えて「さらに募っており、すでに数社から話をいただいている」と述べた。
国は昨年末、水素基本戦略を策定しており、ステーションの建設費用の約半分を補助金で支援し、さらに規制緩和も進める。世耕弘成経済産業相は同日の会見で「FCVの普及なくして基本戦略の実現はあり得ない。FCVの普及拡大はステーション整備と両輪で進めることが重要」と指摘、「政策のギアを上げ、水素社会の実現を全力で推進していく」とのビデオメッセージを寄せた。
水素ステーションの建設には1基当たり4―5億円かかり、FCVも現時点では約2400台(今年1月末)と少ないため採算が合わず、想定通りに整備が進んでいない。新会社を通した建設費用は、国の補助金で半分程度をまかない、新会社で募った金融投資家などからの投資で「残り半分の10―20%」(菅原社長)を補うイメージという。
水素ステーションは昨年12月で92カ所稼働し、建設・計画中を含むと今年1月で101カ所。当初の国の目標では15年度中に100カ所以上を目指していたため、2年ほど遅れている。
新会社では、国の目標である20年度までに水素ステーション約160カ所、FCV4万台の普及が達成できるよう取り組む。また、20年代後半に国や新会社の支援なしでもステーションやFCVなど水素関連ビジネスが適正な利益を確保できるようにするという国の目標実現に向けて協力する。
新会社に参画する11社はトヨタ、政投銀、豊田通商のほか、ホンダ<7267.T>、日産自動車<7201.T>、JXTGエネルギー<5020.T>、出光興産<5019.T>、岩谷産業<8088.T>、東京ガス<9531.T>、東邦ガス<9533.T>、日本エア・リキード。
(白木真紀)