ニュース速報

ビジネス

金融庁、地銀対象に新検査体制導入へ 2グループ制に=関係筋

2016年08月29日(月)18時59分

 8月29日、金融庁が、地銀を対象にした検査体制の刷新を検討していることが明らかになった。写真は金融庁の看板、都内で2013年11月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 29日 ロイター] - 金融庁が、地銀を対象にした検査体制の刷新を検討していることが明らかになった。地銀を2つのグループに大別し、地域トップ行などを念頭に置いたグループと、持続可能なビジネスモデル構築を主眼に置いたグループに分け、課題をきめ細かく点検していく。複数の関係筋がロイターの取材に答えた。

関係筋によると、1)地域経済の活性化への貢献を目標に、金融仲介機能の発揮に重点を置くグループ、2)将来にわたって持続可能なビジネスモデルの構築を主眼とするグループを新設する。

前者は地域トップ行が念頭に置かれ、借り手企業の事業性評価に基づく融資の動向をチェックする。

一方、ビジネスモデルの構築が問われるグループには、ニッチな分野への進出や独自のビジネス展開などを通じ、真に顧客の利益になるようなサービスの提供を促していく。

個別の銀行がどちらのグループに属するかは、今後、調整する。金融庁は、各行の経営陣と議論し、地方の実情や将来展望への問題意識などを見極め、グループ分けする方針だ。

現時点で財務健全性に問題がない銀行でも、経営陣の危機意識が低く、自主的な努力を怠っていると判断された銀行に対しては、ガバナンスなどを重点的に議論し、変革を促す考えだ。

金融庁は、すでに各行一律にマニュアル主義的に検査・監督する方針を転換。銀行に優れた取り組みを示して自主的な改善を促す手法に切り替えている。新たな検査体制の導入は、その延長線上にある。

森信親・金融庁長官は今月24日の有識者会議で、人口減や世界的な超低金利の持続など金融業を取り巻く環境が厳しさを増している点を踏まえ、新たな検査・監督手法の確立が必要と述べた。

森長官は、顧客のニーズに合った良質なサービスの提供が金融機関自身の持続的な収益につながると指摘。

新たな検査・監督の着眼点として、1)形式的に基準を守るのではなく金融機関が実質的に良好なサービスを提供できているか、2)過去の一時点の健全性を単に確認するのではなく、ビジネスモデルが将来にわたって持続可能かどうか――といった点を挙げた。

金融庁の広報担当者からのコメントは現時点で得られていない。

(伊藤純夫、和田崇彦 編集:田巻一彦)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼総統、中国軍事演習終了後にあらためて相互理

ビジネス

ロシア事業手掛ける欧州の銀行は多くのリスクに直面=

ビジネス

ECB、利下げの必要性でコンセンサス高まる=伊中銀

ビジネス

G7、ロシア凍結資産活用は首脳会議で判断 中国の過
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    アウディーイウカ近郊の「地雷原」に突っ込んだロシ…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    なぜ? 大胆なマタニティルックを次々披露するヘイリ…

  • 7

    批判浴びる「女子バスケ界の新星」を激励...ケイトリ…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    これ以上の「動員」は無理か...プーチン大統領、「現…

  • 10

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 4

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 7

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 8

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 9

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 10

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中