ニュース速報

ビジネス

野村の4─6月期は前年比31%減益、リテール収益が悪化

2016年07月28日(木)20時03分

 7月28日、野村ホールディングス が発表した2016年4─6月期連結決算(米国会計基準)は、当期利益が前年同期比31%減の468億2500万円になった。写真は都内で昨年12月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 28日 ロイター] - 野村ホールディングス <8604.T>が28日発表した2016年4─6月期連結決算(米国会計基準)は、当期利益が前年同期比31%減の468億2500万円になった。トレーディングや投資銀行部門からなるホールセール部門が大幅な増益となったが、営業(リテール)部門の収益は悪化した。

円高の進行で日経平均株価<.N225>が一時大幅に値を下げ、投資家心理を冷え込ませたなか、本来はグループの稼ぎ頭であるリテール部門の税引き前利益は、前年同期比で83%減の87億円に低下した。

リテール部門が100億円の大台を割ったのは、金融危機後の09年1─3月期に55億円の赤字を計上して以来となる。この4─6月期は、株式・為替の相場が短期間に変動するなかで、投資家が参加しにくい状況が続いたことが足かせとなった。

北村巧・財務統括責任者(CFO)はアナリストとの電話会議で、リテールの回復には「魔法の手はない」と述べた。相場の乱高下が激しい環境では、顧客の抱える「悩みは大きい」ため、コンサルティング営業の継続が重要だと強調した。

<ホールセールが好調>

通常、グループの6割前後はリテールが稼ぎ出す構図だが、今回の決算ではホールセール部門がけん引した。

米州、欧州を中心に金利関連のビジネスが好調だったことなどから、ホールセール部門の税引き前利益は同2.3倍の466億円に拡大。ヘッジ目的の商品ニーズの増加や、金利の低下局面でフィクストインカム関連商品の利益が拡大したほか、コスト削減で損益分岐点が下がったことも功を奏した。

野村HDは今年4月、海外業務を黒字化するためのホールセール部門のコスト削減や海外の戦略の見直しを発表している。

北村CFOは4月に発表した戦略の見直しやコスト削減の進ちょくについて、昨年度のコスト(59億ドル)から、足元は55億ドル程度まで下がったと説明し、計画(52億ドル)に近付いていることを示した。

4─6月期の欧米アジアの海外の税引き前利益は168億円と、09年7─9月期(200億円の税前利益)に次ぐ高水準になった。

北村CFOは、マーケット環境は依然厳しいとの見方を示したが、フィクストインカム業務などでは「米国を中心に、マーケットシェアが増えた実感を持っている」とコメント。足元の状況については詳細な発言はできないとしながら、「4─6月期のトレンドから大きな変更はない」との見方を示した。

*内容を追加して再送します。

(江本恵美)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ヒズボラ、爆発の数時間前までポケベル配布=治安筋

ビジネス

米国株式市場=ダウ最高値、ナイキが高い フェデック

ビジネス

ボーイング、米2州で従業員の一時帰休開始 ストライ

ワールド

一部州で期日前投票始まる、米大統領選 
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    世界で最も華麗で高額な新高層ビルに差す影
  • 2
    がん治療3本柱の一角「放射線治療」に大革命...がんだけを狙い撃つ、最先端「低侵襲治療」とは?
  • 3
    NewJeans所属事務所ミン・ヒジン前代表めぐりK-POPファンの対立深まる? 
  • 4
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 5
    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…
  • 6
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 7
    他人に流されない、言語力、感情の整理...「コミュニ…
  • 8
    口の中で困惑する姿が...ザトウクジラが「丸呑み」し…
  • 9
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 10
    ロシア防空ミサイルが「ドローン迎撃」に失敗...直後…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に高まる【新たな治療法】の期待
  • 3
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優雅でドラマチックな瞬間に注目
  • 4
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 5
    世界で最も華麗で高額な新高層ビルに差す影
  • 6
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 7
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 8
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰…
  • 9
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 10
    「ポケットの中の爆弾」が一斉に大量爆発、イスラエ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 5
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 6
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 9
    ロシア国内クルスク州でウクライナ軍がHIMARS爆撃...…
  • 10
    「ローカリズムをグローバルにという点で、Number_i…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中