ニュース速報

ビジネス

独VWの第1四半期、排ガス不正の影響軽微 高級車部門が下支え

2016年05月31日(火)22時16分

 5月31日、独自動車大手フォルクスワーゲンが発表した第1・四半期決算は、排ガス不正問題の引当金に絡んだ特別項目が利益を押し上げ、利益が予想上回った。ロンドンで2015年11月撮影(2016年 ロイター/Suzanne Plunkett)

[ベルリン 31日 ロイター] - 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が31日発表した第1・四半期決算は、基礎的利益が予想ほど落ち込まなかった。高級車部門アウディやポルシェに対する需要が底堅く、排ガス不正問題によるVW部門の販売落ち込みを補った。

一時項目を除く営業利益は5.9%減の31億ユーロ(35億ドル)、営業売上高は3.4%減った。

利益は市場予想の28億ユーロを上回ったが、VWはスキャンダルからの事業立て直しに取り組む中、厳しい1年になるとの見方を示した。

中核のVW部門は赤字を計上していた前四半期から7300万ユーロの黒字に転換した。ただ5億1400万ユーロの利益を計上していた前年同期の水準は大きく下回る。営業売上高は4.6%減、営業利益率は0.3%にとどまった。

VW株価は決算を受け、1.6%安で取引されている。

北ドイツ州立銀行のフランク・シュウォペ氏は「決算の数字は予想よりも良好だった」と指摘。決算発表を控え8カ月ぶり高値をつけていたことから、決算を受けて利食い売りが出ているようだと述べた。

グループ全体を支えた高級車部門ポルシェは利益、売上高ともに大幅増を記録、アウディの売上高はほぼ横ばいだった。

また西欧、アジア太平洋の好調が南米や東欧の落ち込みを相殺した。

VWの中国合弁事業2社の営業利益は25%減った。中国市場での競争が激化する中、小型車減税が年末に切れるのを前に販売奨励策を強化したことが背景にあるとみられている。

同社最大の市場である中国の売上高は6.4%増加した。

一時項目を含むベースでは、営業利益は34億ユーロ(38億ドル)と前年同期の33億ユーロから増加した。排ガス不正問題引当金の為替関連調整としての3億ユーロが押し上げ要因となった。

同社は、排ガス不正問題の引当金として162億ユーロを計上、昨年は過去最大の赤字を計上した。この日発表された第1・四半期決算には、追加の引当金は含まれていない。

営業利益率は5─6%になるとの4月の見通しを維持した。昨年の営業利益率は、特別項目調整後で6%だった。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国と中国、外交・安保対話開始へ 3カ国首脳会合前

ワールド

岸田首相、日本産食品の輸入規制撤廃求める 日中首脳

ワールド

台湾の頼総統、中国軍事演習終了後にあらためて相互理

ビジネス

ロシア事業手掛ける欧州の銀行は多くのリスクに直面=
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 3

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 4

    カミラ王妃が「メーガン妃の結婚」について語ったこ…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 7

    胸も脚も、こんなに出して大丈夫? サウジアラビアの…

  • 8

    アウディーイウカ近郊の「地雷原」に突っ込んだロシ…

  • 9

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 10

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 8

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中