ニュース速報

ビジネス

ECB、インフレ・成長予想引き下げ 中国リスクで下振れ警戒

2015年09月04日(金)00時55分

 9月3日、欧州中央銀行(ECB)は、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.05%に据え置いた。2010年6月撮影(2015年 ロイター/Ralph Orlowski)

[フランクフルト 3日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は3日、主要政策金利を据え置くとともに、ユーロ圏のインフレおよび成長見通しを下方修正した。ドラギECB総裁は理事会後の記者会見で、経済状況は今後悪化する恐れがあるとの認識を示した。為替市場でユーロは1%下落、2週間ぶり安値をつけた。

ドラギ総裁は状況がさらに悪化すれば債券買い入れプログラムの延長もしくは拡大に踏み切る姿勢を示す一方、現時点では理事会内でそうした議論は全くないと強調した。

ECBは、原油安や中国など新興国経済の減速、ユーロ高に伴い、中期的なインフレ目標を達成できない確率が高まったと指摘。ドラギ総裁は1兆ユーロを超える資産買い入れ策は緩やかながらも円滑に機能しており、理事会として追加措置を講じる用意と意思はあるが、現時点での行動は時期尚早と判断したと説明した。

「理事会はとりわけ、規模、構成、期間の調整において、資産買い入れプログラムが十分な柔軟性を提供するという点を指摘する」とした。

量的緩和(QE)プログラムについては小幅な変更を加え、1銘柄当たりの買い入れ上限を従来の25%から33%に引き上げた。

インフレ予想は2015年が0.1%、16年が1.1%、17年が1.7%とし、前回6月予想の0.3%、1.5%、1.8%からそれぞれ引き下げた。成長見通しも15年が1.4%、16年が1.7%、17年が1.8%とし、前回予想の1.5%、1.9%、2.0%から下方修正した。

今回の予想について総裁は、8月12日以前の情報を基に作成しており、最近の中国経済の大幅な悪化などは考慮しておらず、中国の動向は見通しに対する下振れリスクとの認識を示した。

ただインフレ予想の引き下げに関し、理事会は一時的な要因によると考えているとし、すべての関連要因を注視すると述べた。

クレディ・アグリコルはノートで「ECBが追加QEを発表すると想定するのは時期尚早にみえても、インフレ期待の一段の低下を回避するため、総裁はよりハト派的な姿勢を示すことを検討すべき」と指摘した。

ECBは予想通り、主要政策金利のリファイナンス金利を0.05%に据え置いた。上限金利の限界貸出金利は0.30%、下限金利の中銀預金金利はマイナス0.20%に据え置いた。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動

ビジネス

必要なら利上げも、インフレは今年改善なく=ボウマン

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中