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ユーロ圏がギリシャの支援延長を拒否、債務不履行に現実味

2015年06月28日(日)09時46分

 6月27日、ユーロ圏の財務相はギリシャが求めていた金融支援の延長を拒否。IMFに対する30日の債務返済をギリシャが履行できない可能性が高まった。写真はギリシャのチプラス首相(2015年 ロイター/Alkis Konstantinidis)

[アテネ/ブリュッセル 27日 ロイター] - ユーロ圏の財務相は27日の会合で、ギリシャが求めていた金融支援の延長を拒否した。国際通貨基金(IMF)に対する30日の債務返済をギリシャが履行できない可能性が高まった。

ギリシャのチプラス首相は27日これより先、同国に対する支援の条件について是非を問う国民投票を7月5日に実施すると表明。ギリシャ政府はその後、16億ユーロの対IMF債務の返済期日でもある30日が期限の金融支援を国民投票後まで延長するよう要請した。

ユーロ圏は、ギリシャを除く18カ国で初めて財務相会合(ユーログループ)を開催し、ギリシャの要請を拒否することを決めた。

18カ国の財務相は、ユーロ圏の安定のために全力を挙げると表明。数年前のユーロ圏債務危機の最も深刻な時期に比べると状況は良いとの認識を示した。

ユーログループが発表した声明は、ギリシャが一方的に協議を打ち切ったと批判。

「現行のギリシャに対する金融支援、それに関連したすべての合意は2015年6月30日に終了する」とし、ギリシャの支援延長要請を拒否した。

27日の財務相会合への参加が認められなかったギリシャのバルファキス財務相は、要請が拒否されたことについて「加盟国の民主的な連合であるユーログループに対する信頼を確実に損ねることになる。信頼が永続的に損ねられることを非常に懸念している」と述べた。

<国民投票>

ギリシャに対する金融支援が予定通り30日に終了することが発表されたため、支援の条件についてギリシャ国民の意見を問う投票を実施することに疑問が生じている。

ただ、ギリシャがユーロ圏から離脱すれば、ユーロ圏の土台が揺らぎかねない懸念が強まっており、サパン仏財務相は、少なくとも仏は協議する用意がある、と述べた。

ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長は、ギリシャの議員は国民投票が賢明な措置かどうか熟慮の上、実施に同意すべきと述べた。

ギリシャの首都アテネでは、週末で大半の銀行が休業しているため、混乱の兆しはみられないが、警察は銀行周辺の警備を強化している。ギリシャ政府当局者は、預金の引き出し制限などの資本規制を実施する計画はないと話している。

銀行筋によると、27日には国内の現金自動預け払い機(ATM)のうち3分の1で一時紙幣切れとなった。

ギリシャ中銀は、現金自動預け払い機(ATM)の紙幣が底を尽くことのないよう万全の体制をとるとしている。

トゥスク欧州連合(EU)大統領は28日、ツイッターで、ギリシャはユーロ圏の一員であり続けなければならないとし、ギリシャの離脱回避に向け、域内各国首脳と連絡をとっていると述べた。

ロイター
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