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ギリシャ支援協議に再び暗雲、IMF交渉団が帰国 なお溝深く

6月11日、IMFはギリシャ支援協議で同国と意見の「大きな隔たり」が残っているとの認識を示した。写真はギリシャのチプラス首相、6月8日撮影。(2015年 ロイター/Alkis Konstantinidis)
[ワシントン 11日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は11日、ギリシャ支援協議でなお大きな隔たりがあるとして、ブリュッセル入りしていた交渉団がワシントンに引き上げたと明らかにした。難航する支援交渉に再び暗雲が立ち込めている。
ギリシャ関係筋によると、同国の協議担当者も、意見の相違が大きいとして全員が帰国の途に就いた。
IMFのライス報道官は記者団に「主要分野の多くで大きな隔たりがある」とし、「合意からかなり程遠い段階だ」と述べた。依然として年金や税などが争点になっているという。
ただIMF交渉団は米国に戻った後も、ギリシャとの交渉に引き続き関与しているとした。
これに対し、ギリシャ政府のサケラリディス報道官は「ギリシャ交渉団は、向こう数日中にも合意できるよう議論を深める用意がある」とした。
<万事休すか>
ただ関係者の1人は、IMFの交渉担当者が帰国したことについて、過度な悲観論にも慎重な姿勢を示した。IMF交渉団の帰国は、交渉決裂というよりは小休止の意味合いが強いという。
IMFの専門家は「ブリュッセル・グループ」と呼ばれる技術的な交渉担当チームの一員として協議に参加している。だが前夜から11日にかけてギリシャのチプラス首相がメルケル独首相、オランド仏大統領と会談するなど、最近では事態打開に向けて政治指導者が直接交渉を進める場面も多く、交渉の中心的な役割からは外れていた。
必要となれば再び交渉の場に戻る用意はあるが、おそらくブリュッセルに残ってもあまり意味がないと判断したもようだ。
一方で、欧州連合(EU)のトゥスク大統領は、ギリシャには「賭けに出る」時間は残されていないとし、これまでになく厳しい姿勢を鮮明にした。
「われわれに必要なのは交渉ではなく決定であることは明白」とし、「ギリシャはより現実的になる必要がある」と述べた。
チプラス首相はこの日、ユンケル欧州委員長と2時間ほど会談したが、大きな成果は得られず、話し合いは物別れに終わった。
EU当局者はIMF、ギリシャ双方の協議担当者がブリュッセルを離れたことに伴う懸念について問われ、「順調に進展していれば、委員長がチプラス首相と会う必要はなかった」とし、これは合意に向けた「最後の試み」だったと明かした。