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豪中銀総裁、追加緩和「非現実的ではない」 市場は7月利下げ織り込む
[アデレード 20日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のロウ総裁は20日、今月の利下げは経済成長を回復させるには不十分との認識を示した。市場では、早ければ7月にも追加利下げが実施されるとの見方が広がった。
豪中銀は4日に政策金利のオフィシャルキャッシュレートを25ベーシスポイント(bp)引き下げ過去最低の1.25%とした。
ロウ総裁はアデレードでの経済会合で「理事会が経済の余剰生産能力を縮小し、中期目標に沿ったインフレを達成しようとする中、キャッシュレートのさらなる引き下げを見込むことは非現実的ではない」と述べ、「これを踏まえると、利下げの可能性は依然テーブル上にある」と語った。同時に政府に財政刺激策の実施を呼び掛けた。
第1・四半期の国内総生産(GDP)は前年比の伸び率が1.8%と、10年ぶりの低水準に落ち込んだ。失業率は5.2%に上昇し、物価と賃金の伸びは中銀の想定を下回っている。
ロウ総裁は、国内総生産(GDP)と労働市場関連を含めた直近の統計は、経済の余剰能力が削減されていることを示唆していないと指摘。
「大半の指標は、経済に依然としてかなりの余剰能力が残っていることを示唆している」とし、「この余剰能力を縮小することは可能で、望ましい」と語った。
失業率は4.5%まで下げることが可能で、そうあるべきだとし、政策緩和がその目標の達成に寄与するとの見方を示した。
先物市場<0#YIB:>では、総裁の発言を受け、7月2日の次回会合で利下げする確率が50%弱から76%に上昇。8月までに金利が1%に引き下げられることは確実視されており、クリスマスまでにさらに0.75%に引き下げられると見込まれている。
コモンウェルス銀行(CBA)のシニアエコノミスト、クリスティナ・クリフトン氏は「ロウ総裁の発言は、追加利下げが差し迫っているというシグナルだ」と述べ、次の25bpの利下げは8月ではなく7月との見方を示した。
<政府は財政出動を>
ロウ総裁は、金融政策だけですべてに対応することはできないと認識することは重要だとし、政府にインフラ支出を含めて財政面でのさらなる取り組みを呼び掛けた。豪10年債
豪中銀は財政政策への言及は控えるのが慣例なだけに、ロウ総裁の発言は危機感の表れと受け止められた。
だが、先の選挙で再選されたモリソン首相の与党・保守連合は小さな政府を標榜しており、今のところ財政刺激策の必要性は低いとの立場で、2019/20年度の財政黒字化に重点を置いている。
それでもアナリストの中には、政府の姿勢がいずれ変化するのではないかとみる向きもいる。
ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)グループのチーフエコノミスト、アラン・オスター氏は「景気減速が財政黒字化という政治目標よりも優先される問題になれば、政府は年内に中銀の要請に応えて追加の財政刺激策を講じると予想する」と述べ、予定される減税の前倒し、インフラ投資の拡大などを挙げた。また、CBAと同じく、予想する追加利下げ時期を8月から7月に変更した。
*内容を追加しました。