ニュース速報

北の非核化には多国間の保証必要、「米だけでは不十分」=ロ大統領

2019年04月26日(金)06時53分

[モスクワ/ウラジオストク(ロシア) 25日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は25日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との会談終了後に記者団に対して、朝鮮半島の非核化や制裁、米国について話し合ったことを明らかにした。

両首脳はロシア極東ウラジオストクで会談。プーチン大統領は「会談の成果に満足している」と述べた上で、核プログラムを廃棄するためには、北朝鮮が国際的な安全の保証を必要としていると指摘。こうした保証が機能するには、日本を含め核問題に関する6カ国協議の参加国による多国間の枠組みの中で提供される必要があり、米国だけの保証では不十分との考えを示した。

プーチン氏は「北朝鮮に必要なのは安全の保証だけであり、われわれは一丸となって考えなければならない。こうした安全の保証は国際的な枠組みでなければ成り立たず、2国間合意では不十分だ」と語った。

北朝鮮の核問題を話し合う6カ国協議にはロシア、中国、日本、米国、韓国、北朝鮮が参加。プーチン大統領は北朝鮮に対する保証は国際的なもので、法的拘束力があり、かつ北朝鮮の主権を保証するものである必要があるとの考えを示した。

プーチン氏と金委員長の初会談では実質的な進展はなかったとみられるが、両氏は相互に好意的な印象を受けたもよう。数人の側近のみを交えた会談は予定されていた50分の倍に延長された。

プーチン大統領は金委員長について「非常にオープンで、思慮があり、興味深い」と評した。

金氏は、朝鮮半島の問題は世界の関心事と述べるにとどめた。その後はメディアにはコメントはせず、会議場を後にした。

米朝会談が暗礁に乗り上げる中、北朝鮮にとっては今回の会談は隣国ロシアとの関係改善に向けた好機となった一方、ロシアにとっても国際舞台で重要な役割を果たす格好の舞台となった。

米国務省は今回の会談について今のところコメントしていないが、ウィリアム・ハガティ駐日米大使はワシントンのシンクタンクに対し、金委員長は北朝鮮に対する国際的な制裁の緩和を求める措置の一環として、ロシアと中国に接近しているとの見方を示した。

同大使は「金委員長がプーチン大統領と会談したことは、制裁措置により北朝鮮の現体制に著しい経済的な圧力がかかっていることを示しており、制裁措置が機能していることが明確に示された」と指摘。「国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁を一丸となって順守することが極めて重要だと考えている」と述べた。

プーチン氏が北朝鮮の最高指導者と会談を行うのは2002年に金正恩氏の父、故金正日総書記と会談して以来。故金正日総書記は11年に当時大統領を務めていたメドベージェフ首相とも会談している。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 

ビジネス

米地銀リパブリック・ファーストが公的管理下に、同業

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年2月以来の低水準
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 8

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 9

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中