ニュース速報

米ボーイング、19年予想取り下げ 737MAX運航再開のめど示さず

2019年04月25日(木)09時47分

[24日 ロイター] - 米ボーイングは24日、2019年の業績見通しを取り下げ、自社株買いを停止すると発表した。2件の墜落事故を起こした旅客機「737MAX」の運航停止に伴う生産ペース引き下げで、少なくとも10億ドルのコスト増となったことも明らかにした。

同社によると、737MAXを巡る問題がより明確になった時点で、新しい見通しを発表する。自社株買いは第1・四半期に23億ドル相当を実施しており、全て3月半ばまでに行ったという。

生産ペースの引き下げだけでもこれまでに10億ドルの費用が発生した。部品価格は購入量に基づき設定されており、生産ペースが落ちると支払額がかさむ。

同社は、昨年10月と今年3月の737MAXの墜落事故の原因ともされる失速防止装置のソフトウエア修正やパイロット訓練の関連費用も計上。額は明らかにしていない。

ミューレンバーグ最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会見で、ソフトウエア修正に自信を示し、米連邦航空局(FAA)の認証飛行が近く行われると見通した。

ただ、737MAXの商業運航が再開する時期は世界の規制当局や航空会社に引き続き委ねられているとして、見通しを示さなかった。

同氏は「航空機がどのように設計され、認証を受けているのか正確に把握している。(737)MAXが復帰すれば、これまでで最も安全な機種の1つになるだろう」と話した。

ミューレンバーグCEOはまた、新しい大型旅客機「777X」は年内の試験飛行、来年の納機を引き続き予定しているとした。

バーティカル・リサーチ・パートナーズのアナリスト、ロバート・スタラード氏は「ボーイングは737MAXを巡る状況が今後どのように収束に向かうかについて新しい情報をほとんど示さなかった」と指摘。「運航再開は8月とするのは恐らく楽観的で、9月になる可能性はある」と述べた。

ボーイングの株価は0.4%高で終了。3月のエチオピア航空の7373MAX墜落事故以降でみるとなお約10%安で、250億ドル近くの時価が消失した。

同社は運航停止を受けて737MAXの製造を月間52機から同42機に削減。第1・四半期の営業キャッシュフローは前年同期比で約3億5000万ドル減少した。

また、インドの航空会社ジェット・エアウェイズが資金難に陥ったことを受けて、受注残から210機を削除し、顧客向け融資の減損処理を行った。

第1・四半期の特別項目を除いたコア1株利益は前年同期の3.64ドルから3.16ドルに減少。アナリスト予想平均と一致した。

売上高は2%減の229億2000万ドルで、アナリスト予想平均の229億8000万ドルに届かなかった。

営業キャッシュフローは31億4000万ドルから27億9000万ドルに減少し、市場予想の平均28億2000万ドルを下回った。

*内容を追加しました。

ロイター
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