ニュース速報

欧州市場サマリー(5日)

2019年04月06日(土)05時15分

[ 5日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 反発して取引を終えた。米雇用統計が市場予想を上回ったことで世界経済鈍化への懸念が後退したほか、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る先行き不透明感でポンドが下落し輸出銘柄を押し上げた。鉱業や金融株も好調だった。

FTSE100種は週間ベースで2カ月ぶりの大幅な上昇となった。

原油高に伴い石油大手のロイヤル・ダッチ・シェルやBPがともに1%超の値上がりとなった。原油は、リビアでの緊迫の高まりによって供給に影響が出るとの見方から値を上げた。

亜鉛の値上がりに伴いFTSE350種鉱業株指数<.FTNMX1770>は1.54%上昇した。

トランプ米大統領が米中が通商協定で約4週間で妥結するかもしれないと発言したことで両国の貿易摩擦への懸念が後退し、市場心理が好転した。アジアへのエクスポージャーが高い金融大手HSBCや保険最大手プルーデンシャルが買われた。

メイ英首相はEUのトゥスク大統領に宛てた書簡で、英議会が離脱協定案で合意するために離脱を6月30日まで延期することを要請した。EU当局者によるとトゥスク大統領は1年間の離脱延期を提案したという。離脱を巡る混乱からポンドが下落し、輸出銘柄の買い材料となった。

中型株では発電企業のコントゥールグローバルが6.9%上昇した。2018年の配当を引き上げたことが好感された。一方、小中企業向けピア・ツー・ピア(P2P)融資のファンディングサークルは8.2%安だった。傘下のファンディングサークルSMEインカム・ファンドを廃業するとの発表が売り材料だった。

<欧州株式市場> 上昇して取引を終えた。ドイツと米国の経済指標が市場予想を上回ったことでリスク志向が強まったほか、英国の欧州連合(EU)離脱が延期される可能性からアイルランド株が値を上げた。

2月のドイツ鉱工業生産が上昇したほか、3月の米雇用統計は前月につけた17カ月ぶりの弱い伸びから加速した。

メイ英首相はEUに対して、離脱を6月30日まで延期するよう要請した。アイルランドの主要株価指数<.ISEQ>は1.09%上昇した。CMCマーケッツのアナリスト、デービッド・マデン氏は「アイルランド株には最近、圧力がかかっていた。合意なき離脱となることが過剰に織り込まれていた」とし「この日は買い安心感が広がった」と述べた。

STOXX欧州600種化学株指数<.SX4P>は0.83%上昇した。第1・四半期の売上高が目標を上回ったスイスの化学製品メーカー、エムスケミー・ホールディングが5.9%高となり、全体を押し上げた。

原油高に伴い石油・ガス株指数<.SXEP>は0.88%上昇した。

一方、通信株指数<.SXKP>は1.02%低下した。携帯電話サービス大手のボーダフォンが2.2%安となり、全体を押し下げた。

銀行株指数<.SX7P>は0.46%低下した。ドイツ銀行とコメルツ銀行の合併協議について欧州中央銀行(ECB)は、承認する前にドイツ銀行に対して資本増強を求める方針だとする関係筋の話が材料視された。両行の合併計画が複雑化した。

<ユーロ圏債券> 独連邦債利回りが上昇した。米中通商合意に対する期待のほか、英国の欧州連合(EU)離脱期限がさらに延長される可能性が出てきたことに加え、ドイツの鉱工業生産指数が予想より大きく上昇したことなどで市場心理が好転し、安全資産とされる独連邦債に対する需要が低減した。

米中は前週に続き今週も通商協議を継続しているが、トランプ米大統領は前日、中国との通商合意がかなり近づいており、4週間以内に発表する可能性があると述べた。[nL3N21M4IV]

このほか欧州では、英国のメイ首相がこの日、トゥスクEU大統領宛ての書簡で、離脱合意案の取りまとめに向け離脱期限を6月30日に延期することを要請。これを受けEU高官は、トゥスク大統領が来週10日のEU首脳会議で英国に最大1年間の「柔軟な」EU離脱の延期を提案するとの見通しを示した。[nL3N21N1E8]

また、ドイツの2月の鉱工業生産指数は前月比0.7%上昇し、予想の0.5%上昇を上回った。[nL3N21N179]

みずほの金利ストラテジスト、アントワーヌ・ブーベ氏は「オーバーナイトのニュースでは、米中通商協議に関するものがプラスだった。英国のEU離脱期日が長期間延期されるとの楽観的な見通しも出ている」と述べた。

独10年債利回りは0.024%と、2週間ぶりの水準に上昇。終盤の取引ではゼロ%近辺と、前日を約1ベーシスポイント(bp)上回る水準で推移している。

ただ3月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数は堅調に増加したものの賃金の伸びが低調だったことを受け、独10年債のほか、仏10年債やオランダ10年債 などのユーロ圏国債の利回りは上げ幅を縮小した。

ラボバンクの金利ストラテジスト、マット・ケアンズ氏は「非農業部門雇用者数は堅調に増加したが、賃金の伸びが低調だったことで、米連邦準備理事会(FRB)が示しているハト派的なスタンスが改めて確認された」と述べた。

<為替> 欧州終盤 アジア市場終盤 コード

ユーロ/ドル    1.1215 1.1228

ドル/円 111.70 111.66

ユーロ/円 125.28 125.38

<株式指数> 終値 前日比 % 前営業日終値 コード

STOXX欧州600種 388.23 +0.36 +0.09 387.87 <.STOXX>

FTSEユーロファースト300種 1526.20 +2.26 +0.15 1523.94 <.FTEU3>

DJユーロSTOXX50種 3447.47 +5.54 +0.16 3441.93 <.STOXX50E>

FTSE100種 7446.87 +44.93 +0.61 7401.94 <.FTSE>

クセトラDAX 12009.75 +21.74 +0.18 11988.01 <.GDAXI>

CAC40種 5476.20 +12.40 +0.23 5463.80 <.FCHI>

<金現物> 午後 コード

値決め 1288.45

>

<金利・債券>

米東部時間14時4分

*先物 清算値 前日比 前営業日終盤 コード

3カ月物ユーロ 100.31 0.00 100.31

独連邦債2年物 111.91 -0.02 111.93

独連邦債5年物 132.88 -0.05 132.93

独連邦債10年物 165.36 -0.16 165.52

独連邦債30年物 189.46 -0.24 189.70

*現物利回り 現在値 前日比 前営業日終盤 コード

独連邦債2年物 -0.576 +0.017 -0.579

独連邦債5年物 -0.442 +0.010 -0.449

独連邦債10年物 0.003 +0.016 -0.008

独連邦債30年物 0.638 +0.014 0.628

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イランとイスラエル、再び互いを攻撃 米との対話不透

ワールド

米が防衛費3.5%要求、日本は2プラス2会合見送り

ビジネス

トヨタが米国で値上げ、7月から平均3万円超 関税の

ワールド

トランプ大統領、ハーバード大との和解示唆 来週中に
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    全ての生物は「光」を放っていることが判明...死ねば…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    「巨大キノコ雲」が空を覆う瞬間...レウォトビ火山の…
  • 8
    【クイズ】次のうち、中国の資金援助を受けていない…
  • 9
    マスクが「時代遅れ」と呼んだ有人戦闘機F-35は、イ…
  • 10
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 10
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中