コラム

次期大統領候補だったルペンが有罪に、ここから始まるフランス政界大混迷

2025年04月09日(水)16時48分

わずかに残る「ルペン出馬」の可能性

ルペンや国民連合、各国の極右勢力が示した反応は、有罪者の典型的パターンそのものだ。事実も法律も味方に付けられないときは、ひたすら主張をわめき立てろ──。

ルペンの後継者と目される国民連合のバルデラ党首は「不当な有罪判決を受けたのはルペンだけではない。フランスの民主主義が処刑された」と断じた。同じく有罪を宣告された同党の元財務担当責任者は「法ではなく、政治による」判断だと非難した。


どれも妄想であり、嘘だ。フランスではシラク元大統領、ジュペ元首相、サルコジ元大統領が過去に同様の容疑で有罪判決を受け、被選挙権を停止された。

欧州議会のフランス中道派議員が指摘したように、真の要点は「この国の民主主義の核にあるのは......司法制度の独立だ。誰であれ、法を超越することはできない」ということだ。

判決の政治的影響は既に出始めている。ただし、長期的インパクトは未知数だ。ルペンによる控訴の成り行き次第では、大統領選出馬の可能性もわずかながら存在する。

控訴裁判所は4月1日、来年夏に判決を出す方針を発表した。それまでに控訴裁判所が1審判決の執行を停止した場合、国民連合は選挙の前倒しとルペン出馬を実現するため、内閣不信任案可決を目指す展開も考えられる。だが、いずれにしても「ルペン有罪」は深刻な政治的打撃だ。

プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

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