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ForeignPolicy.com 外交エディター24時
EUがキューバに少し接近
EU(欧州連合)のキャ サリン・アシュトン外相(外務・安全保障上級代表)は今、キューバとの関係正常化を目指し、キューバ政府との対話の可能性を探っている。国際ニュースも扱う情報サイト、モンスターズ&クリティクスによると、これはキューバが最近数十人の政治犯を釈放したことを受けての動きだ。この動きに先立ち欧州議会は先週、人権や思想の自由を守るために献身的な活動を行った人々に与えられる「サハロフ賞」を、キューバで投獄中の反体制活動家ギジェルモ・ファリニャスに授与することを投票で決定した。
96年以降にEUが貫いてきた政策は、キューバが人権問題を改善するという条件付きでキューバと接触する、というものだった。そんな中、スペインがカトリック教会とともにラウル・カストロ政権に働きかけ、数十人の政治犯を釈放するよう説得することに成功。その後スペインは、対キューバ政策を軟化させるよう、率先してEUに呼びかけている。
キューバに対するスペインの働きかけを、フランスとイタリアも支持。こうした最近の動きを重視したEU外相会合は、キューバとの政治的関係を再開させることについて、可能性を探るようアシュトン外相に求めた。
「基本的には、キューバにEU高官を出向かせるかどうか、という話だ」と、イタリアのアルフレード・マンティカ外務副大臣は記者団に語った。キューバとの対話再開の可能性を調査するということについてはEUで合意したが、キューバに対するそれ以上の軟化政策はいっさい決定していない、とマンティカは強調した。アシュトンからの調査報告を待って、この問題については再度話し合われるだろうと、彼は説明している。
EUの外相会合でこの提案に反対したのは、ドイツ、スウェーデン、ポーランド、そして中・東欧の元共産国などだった。先週フォーリン・ポリシー誌は、アメリカもEUと同様の軟化政策を提案するべきだと主張している。
さらに特筆すべきは、サハロフ賞の受賞者決定の経緯だ。過去にもキューバ人受賞者が多かったことなどから、選考の段階では激しい異論と醜い政治論議が噴出した。そうした議論を尽くした末に、ファリニャスの受賞が決定したのだ。ノーベル賞の選考過程も、これくらいの透明性があるといいのだが。
――ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2010年10月25日(月)14時27分更新]
Reprinted with permission from "FP Passport", 26/10/2010. © 2010 by The Washington Post Company.
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