コラム

グーグルがウィンドウズ使用を停止

2010年06月02日(水)17時13分

 中国本土でのネット検索サービスから撤退したグーグルが、中国のハッカーが同社のネットワークに侵入して知的財産を盗んだと発表した当初、世間の関心は中国の反政府活動家の電子メールのアカウント情報に集中した。しかし今では、グーグルは企業秘密のソースコードも盗まれたと信じられている。

 なぜそんなことが可能だったのか。ハイテク情報サイトのCNETなどが報じているように、ハッカーたちは、グーグル社員が使うマイクロソフトのウィンドウズOS(基本ソフト)やインターネット・エクスプローラの脆弱性を攻撃することでグーグルのシステムに侵入したのだ。

■グーグルらしい徹底ぶり

 同じ過ちは犯さない。グーグルは今、社内からマイクロソフトのソフトを一掃しようとしている。グーグルのある社員は英フィナンシャル・タイムズ紙にこう語った。「もうウィンドウズは使わないことになった。安全対策だ」

 今年まで、グーグルの社員はウィンドウズ、マック、リナックスのなかから好きなOSを選ぶことができた。だが、今後は徐々にマイクロソフトをなくしていくという。

 皮肉だ。マイクロソフトはつい先日、アップルに株式時価総額で抜かれたばかり。だがそれだけではない。かつては共に巨人マイクロソフトに立ち向かう立場だったグーグルとアップルは、今ではスマートフォンなど多くの分野で熾烈な争いを繰り広げる競合同士だ。

 グーグルの徹底した現実主義には脱帽せざるをえない。彼らは、あくまでいいものしか使わない。それが、商売敵アップルのスティーブ・ジョブズをにんまりさせるさせる結果を招くとしても。

──クリスティーナ・ラーソン
[米国東部時間2010年06月01日(火)11時56分更新]

Reprinted with permission from FP Passport, 2/6/2010. ©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

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国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

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