<子育て中の女性など、働きたいと思っても求職活動すらできない人の数は統計値には反映されない>

コロナ禍で生活不安が広がっているが、人々の生活困窮を可視化する代表的な指標は失業率だ。失業率とは、働く意欲のある人のうち、職に就けないでいる人が何%いるかを言う。分子には、調査時点でハローワークに行くなど具体的な求職活動を行った人の数が入る。

しかし、働きたいのに職に就けないでいる人をこのように限定していいのだろうか。就労を希望しつつも、様々な事情から求職活動ができない人もいる。上記の当局の定義だと、こういう人は失業者とはカウントされない。このように漏れている人は「潜在失業者」と呼ばれたりする。

生活困窮の指標としての失業率を出す場合、こうした潜在部分もすくわなければならないだろう。<図1>は、2017年の総務省『就業構造基本調査』から作成した15歳以上人口の組成図だ。

data210512-chart01.png

働いている有業者と、働いていない無業者の比率は大よそ「3:2」となっている。有業者は、従業地位でみると正規雇用、非正規雇用、それ以外の自営等に分かれるが、最近では非正規雇用の比重が増している。よく言われるように、今では働く人の3割が非正規雇用だ。

右側の無業者は、働く意欲がある人とそれがない人(⑥)からなる。前者は、求職活動をしている求職者(④)と、それをしていない非求職者(⑤)に分かれる。一般的な失業率は以下のようにして算出される。狭義の失業率と呼んでおく。

▼狭義の失業率=④/(全体-⑥)

分子は求職活動をしている人で、分母には、働く意欲がない就業非希望者(⑥)を全数から除いた数が入る。

だが上述のように、「働く意欲のある人のうち、職に就けないでいる人は何%か」という意味の失業率にするには、上図の⑤も分子に加えるべきだろう。調査時に求職活動をしなかった(できなかった)というだけで、就労を希望していることには変わりない。この部分も含めた広義の失業率は以下の式で出す。

▼広義の失業率=(④+⑤)/(全体-⑥)

<図1>の④~⑥の数値を使って2つの失業率を出すと、狭義の失業率が4.5%、広義の失業率が11.4%となる(2017年10月時点)。倍以上違うが、生活困窮を測る失業率としては、潜在量も含めた後者のほうがいい。

女性で顕著な潜在失業者
【関連記事】