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スペインあれこれつまみ食い

松尾彩香|スペイン

ウイルス感染が広がるスペイン 再びマスク着用義務化も

©︎Shutterstock - Yurii_Yarema

去年のこの時期、スペインにはサンタクロースがいないという内容のブログを書きました(過去ブログ参照)。国民のほとんどがカトリック教徒であるスペインや南米の子供たちはクリスマスプレゼントを持ってきてくれるのは東方の三博士だと信じており、公現祭の1月6日にプレゼントの開封を行うのが習慣になっています。子供がいない家庭もこの日に家族間でプレゼント交換を行い、プレゼント開封の後にゆっくりと家族団欒の昼食を楽しむのです。クリスマスイブ、クリスマス、大晦日、年明け公現祭と家族や親戚などとの団欒が続くこの時期、スペインではインフルエンザ、コロナウイルス、気管支炎が同時に大流行しています。

 

病院はパンク状態

冬になるとインフルエンザなどのウイルス性疾患が流行することはよくあることですが、今年の流行の度合いは桁違いのようです。現在スペインはインフルエンザA型、コロナウイルス、気管支炎が同時に大流行するトリプルデミックに見舞われています。救急外来に駆け込む患者の数は去年と比較して35%増加し、そのうち10%が入院に至っているようですが、急な患者の増加にベッドの不足や医者不足により対応が追いついていない病院も相次いでいるようです。中でも感染が多く確認されているのはカスティージャ・デ・ラ・マンチャ州。この自治州の呼吸器系ウイルスの発生率は、人口10万人あたり1,709件と言われており、この数は全国平均数の2倍にもなると言われています。感染の拡大は12月の最終週に急増したと言われていることから、クリスマスの親戚や友人との集まりが感染が広がった大きな要因と言って間違いないでしょう。他にもパンデミックが収束したことでウイルスに感染することへの恐怖が薄れコロナウイルスやインフルエンザのワクチンを打つ人が減ったことも要因として挙げられています。またスペインには感染予防のためにマスクをつけたり、帰宅後の手洗いの習慣などがないことも今回のトリプルデミックに大きく関係するでしょう。

 

マスク義務化復活

今回の感染拡大を受けて、病院でのマスク着用義務化に踏み切る自治州が続々と増えています。1月7日時点、病院でマスク着用が再度義務化されたのはカタルーニャ州、バレンシア州、ムルシア州。8日には健康省や医療関係者の間で会議が開かれ今後の対応について話し合われる予定ですが、同様な措置をとる自治州がこれから次々と現れることはほぼ間違いないでしょう。コロナウイルスが流行する前はマスクをつけることに抵抗や違和感を感じる国民が多かったスペイン。しかしコロナウイルス以降マスク着用が感染拡大防止に効果的という認知が広まったため、このような措置に対して病院を訪れる国民たちは「もっと早くから義務化しても良かったのに」「大賛成だ」と、この対策を支持するコメントをインタビューで残しています。

 

みんな風邪!

クリスマス後あたりから私の身の回りで「風邪気味」を訴える人がものすごい勢いで増えました。公共交通機関内でも咳をする人がとても多く、痰が絡む咳が四方八方から聞こえてきます。イベントの後は知り合いの間で「クリスマスはどうだった?」「年明けはどう過ごした?」と会話を交わすことが多いのですが、半数以上とも言っても過言ではない割合で「実は風邪をひいちゃってさ」「身体中が痛くてそれどころじゃなかったよ」と返答が返ってきたことには驚きました。クリスマスから連続して行われたイベントもやっと集結し、これから感染者は徐々に減っていくでしょうが油断は禁物。私は奇跡的に今のところウイルス感染していないので、このまま春まで健康に過ごせるように引き続き気を引き締めていこうと思います。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

2015年スペイン巡礼(カミノデサンティアゴ)フランス人の道を完歩。スペイン語習得のために渡ったコロンビアでコーヒー農家になるもスペイン移住の夢が捨てられず、現在はコロンビアのコーヒー事業を継続しながらマドリードのベッドタウンでひっそりとスペインライフを満喫中。

Twitter: @maon_maon_maon

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