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魅惑の摩天楼、香港フォト通信

マリエ|香港

香港の未曽有の大火災から「民主派政党」解散へ、消えた炎とグルメへの逃避

(筆者撮影)

■未曽有の大火災で忘年会は1月に延期

「宏福苑」という集合高層住宅で起きた香港史上最悪レベルの大火災は日本でも大きく報道され驚愕されたと思う。この大惨事で香港全体が悲しみに包まれた。香港ではクリスマスは祝日なので12月20日前後から休暇を取って海外に旅行に出かける人が多い。そのため12月の第1週、第2週あたりにクリスマスを兼ねた忘年会(Year End Party)をする企業が多い。しかしながら今年は11月末の大惨事で「多くの方が犠牲になったのだから見送るべきだ」との動きが散見された。HSBCの保険を扱う部署に勤務する知人2人からも、火災保険も当然扱っている立場上、やっぱり良くないと部署の忘年会は1月に繰り越すことになったと聞いた。

大惨事の炎は完全に鎮火された。 それからしばらくして微力ながらも灯されて来たある小さな炎がとうとうプツンと息絶えたかのようなニュースが飛び込んできた。12月14日香港最大の民主派政党だった「民主党」が解散を正式に決定した。これによって主要な民主政党はほぼすべて姿を消すこととなった。

そうなると次に目が行くのは、香港で唯一の民主寄りだったメディア、「リンゴ日報」のオーナーのジミー・ライがどうなるかである。ライ氏は外国勢力との結託容疑で2020年12月末から収監されている。民主党の解散から間髪おかず12月15日ジミー・ライの有罪の判決が下された。くわしい量刑は後日下されるとの事。

■食べ物の話をするに限る

newsweekjp_20251219042502.jpg(筆者撮影)

香港は2020年の国安法施行以来、大きく変わった。公の場で政治の話は絶対にしない、避けようという空気感が完璧に根付いたと感じる。だから香港人は以前にも増して食べ物の話をする。まあ、香港はグルメ都市なので香港人は元々食べる事への情熱が強烈に熱い、グルメの話題が大好きである。

■今年亡くなった香港で一番有名な美食家、チャイラン(祭蘭)

昔フジテレビで放映されていた「料理の鉄人」という番組に審査員として時々出演していたチャイランさんを覚えている方はいるだろうか? 香港では本当に有名な美食家で、日本に留学経験もあることから日本語も堪能。日本エアシステムの香港発日本線の機内食のプロデュースも担当。私はチャイラン氏が書いた香港グルメガイドを読んだことがある。

そのグルメガイドの最後の方に「私が何故グルメの話をして美食のコラムを書くのか? それは食べ物の話さえしていれば自分の身に危険が及ぶことがないからだ。政治の話はそうはいかない」という趣旨の言葉で結ばれていた。もう15年以上前に読んだガイドブックで、もう手元に無いのだけれど、なぜかその結びの文章が突然蘇ってきたここ最近であった。

 

Profile

著者プロフィール
マリエ

香港在住の雑貨が大好きなフォトグラファー。大学卒業後、自動車会社、政府機関、外資企業にて広報担当。夫の転勤で香港に移住後、カメラに興味を持ち、日本人、外国人フォトグラファーに師事。現在、雑貨を可愛く撮るカメラ教室「Zakka Styling」を主宰。同時に家族写真、ロケーションフォトの依頼もこなす日々。インスタグラムはこちら

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