米国がB型肝炎ワクチン「出生時接種」推奨を撤回...「ワクチン懐疑派」ケネディ長官の諮問委
写真はケネディ米厚生長官。米ホワイトハウスで行われた全米クリスマスツリー点灯式で4日撮影。REUTERS/Jonathan Ernst
米国のワクチン諮問委員会は5日、全ての新生児に出生時のB型肝炎ワクチン接種を推奨する方針を撤回する決定を下した。疾病の専門家らが公衆衛生による数十年分の成果を逆行させるものだと批判する中、「ワクチン懐疑派」とされるケネディ米厚生長官にとって政策上の大きな勝利となった。
米国では1991年以降、全ての新生児に対し、出生時に1回目、その1─2カ月後に2回目、6─18カ月後に3回目のB型肝炎ワクチン接種が推奨されてきた。
今後は、出生時の接種推奨は新生児の母親がB型肝炎ウイルス陽性の場合に限られる。母親が陰性の場合は、医療従事者と相談の上、ワクチン接種の開始時期を決めるよう推奨された。初回接種は生後2カ月以降にするよう求める。
トランプ大統領は発表の後、ワクチン接種の実施方法を「米国と同等の先進国」に合わせることを検討するよう、政権に指示する命令に署名した。さらにソーシャルメディア上で、現在の米国のワクチン接種スケジュールを 「ばかげたもの」と批判した。
一方、公衆衛生の専門家や米国医師会などの医療団体は推奨方針の撤回を非難。ワクチン接種に対する障壁となるほか、ワクチンの安全性と有効性に関する数十年の証拠と矛盾すると述べた。
重篤な肝疾患を引き起こす可能性のあるB型肝炎への感染は、ワクチン接種が広まる以前は人口10万人当たり9.6人だったが、2018年には約90%減少し約1人となった。






